おしゃれミューズ 小林麻美さんの人気連載。真冬のこの時期は、これまでに撮りためていた雪景色の都会の写真を見せてくださいました。いつもの街を非日常に変える都心の雪に、小林さんはどんなことを思うのでしょう。
前編/雪の日の記憶、白い世界で思うこと。からの続きです。
雪が降って積もり始めると
デジカメを首からぶら下げ 携帯も持ち
長靴 コート 帽子で 街に出る
雪に埋もれて行く街は本当に美しく
吹きつける雪で頬が痛い
でも私は夢中でシャッターを押す
手袋はできないから 手がかじかんで
だんだん感覚が無くなってゆく
その冷たさが嫌いじゃない
冬に生まれたからか
小さい頃から私は 雪が降ると
嬉しくなって外に飛び出した!
今も全く変わらない!
ただ カメラを必ず首からぶら下げ
コートを着て 雪の降る街に飛び出して
シャッターをきる
「雪の降る町を」
という歌が
子供の頃から好きだった
何か哀しくて
雪は やっぱり切ない
雪深い地域での 冬の暮らしはきっと
想像するに余りある厳しいものだと思う
その気持ちを思うと
たまに降る東京の雪に
浮かれている自分を反省することも……
だけど やっぱり 雪が好き
桜吹雪と吹雪
なんだか似ている
潔く散って潔く消えていく様も……
溶けていく雪を見るのは何だか切ない
すべてが露呈し
すべてがあぶり出されてしまう
現実を見つめ
ありのままを受け入れるしかない
きっと大丈夫
きっとうまくいく
そう自分に言い聞かせ
晴れ渡る青い空を見上げ 笑ってみる
そう きっと……
雪は儚く
愛も儚い
『ku:nel』2019年 3月号掲載
写真・文 小林麻美/編集 黒澤弥生