大河ドラマ「八重の桜」の主人公、新島八重。ハイカラな暮らしぶりに人生が見える【酒井順子さん女人京都Vol.4】
『女人京都』を読み女人ゆかりの地を行くと都の陰影も見えてくる。『女人京都』の著者であるエッセイスト・酒井順子さんに、歴史上の4人の女人にまつわる地を案内いただきました。
教えてくれた人
酒井順子/さかい・じゅんこ
エッセイスト
東京生まれ。平安女性文学を通じて京都好きとなり、大学の講座を受けに長期滞在したことも。『都と京』ほか京都関連著作も多い。最新刊『ひのえうまに生まれて』。
『女人京都』酒井順子
歴史上の女人足跡を訪ね想像巡らす、雑誌連載をまとめた京都案内エッセイ。史跡巡りの合間になごみの栄養補給も。小学館文庫
新島八重 ーー新島旧邸
新島八重
1845(弘化2)年生まれ。夫・新島襄亡き後は、篤志看護師として日清・日露戦争の負傷兵を看護。裏千家茶道を学んだ茶人でもある。1932(昭和7)年86歳で没。
1878(明治11)年に建った木造建築。1階には応接室や食堂、日本初とも言われる洋式トイレなどもある。酒井さんが見る書斎内には愛用の家具やラン プ他が残る。夫亡き後、茶道に傾倒した八重がつくった茶室「寂中菴」も。
女子教育の始まりを支えた女人のハイカラな暮らしを見る。
大河ドラマ「八重の桜」でも知られる、新島八重。会津藩の砲術師範の家に育ち、戊辰戦争では銃を手に戦ったとされます。同志社大学設立に向けて活動する新島襄と結婚し、同志社女子大学のルーツである女子塾では教鞭をとりました。
かつてはベランダから大文字山がよく見えたそう。窓には木製の鎧戸が取り付けられ、上部には障子欄間がはめこまれる。
「夫亡き後は看護師として活動。バイタリティーのある方ですね。前例のないことをやってのけ、切り拓いた道が私たちの今に繋がっているのだと思います」
室内にある台所には井戸も。現代に通じる使い勝手のいい造り。
京都御苑の東側にある、新島旧邸は新婚時代を過ごし、人生を終えるまで住み続けた家。酒井さん、『女人京都』雑誌連載時はコロナ禍で来られず、実際に訪れるのは初。コロニアル様式ながら中は町家と同じ、真壁造。セントラルヒーティングやシステマティックな台所も画期的。
1階応接間の片隅にある、鉄製の暖炉がセントラル・ヒーティング。ダクトで1・2階の部屋へ温風を巡らせて、家全体を暖める仕組み。壁に飾られた絵はジョージ・ワシントンの肖像画。応接間は会議や教会の礼拝にも使われた。
「現代の住まいに近く、暮らしが想像できますね。展示室には洋食器やワッフルメーカーも。きっと健啖家だったから長生きされたのでしょう。学生たちに囲まれた晩年の写真は、着物姿の優しいおばあちゃん。最後まで自分らしく生き、ファミリーを築かれたのですね。人生が見えて楽しいです」
書斎。「新婚の頃は 洋装、晩年は和装。ご本人の写真も展 示されて実感が湧きます」と酒井さん。
新島旧邸
同志社創立者である新島襄と妻、八重の私邸だった建物。2年かけて解体保存修理工事し、1992年より一般公開。
住 : 京都市上京区松蔭町
営 : 10:00~16:00(受付~15:30)入場無料
火・木曜通常公開(旧邸周囲から建物内部を見学)、土曜特別公開(旧邸周囲及び建物内部に入場し見学)
公開日程はhttps://archives.doshisha.ac.jp/archives/old_mansion/old_mansion.htmlにて必ず 確認を。
\ほかに立ち寄るなら/
京都御苑沿いを北へ歩けば同志社大学。『前田珈琲 文芸会館店』のプリンやナポリタンに癒されてから向かうのもいいし、レンガ造りの校舎を眺めたら、『茶房いせはん』で甘味を補給するのも名案。
前田珈琲 文芸会館店
住 : 京都市上京区東桜町1 京都府立文化芸術会館内
https://www.maedacoffee.com/shopinfo/bungei/
1971年創業の自家焙煎コーヒー店の支店。静かにゆったりくつろげる。
茶房いせはん
住 : 京都市上京区青龍町242
http://www.isehan.demachi.jp/
丹波大納言小豆など、厳選した素材で手作りする甘味処。夏はかき氷も人気。
MAP
『クウネル』2026年9月号掲載
写真/大段万智子、イラスト/友野可奈子、取材・文/宮下亜紀
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『クウネル』NO.140掲載
旅を深める本76冊と歩く、京都。
- 発売日 : 2026年7月17日
- 価格 : 1,080円 (税込)