安田成美さんエッセイ。大好きな『星の王子さま』の言葉に寄せて。「距離感を知っている大人はステキです」
自然体で飾らない美しさが魅力の俳優・安田成美さん。ライフワークとされている『星の王子さま』の朗読劇の活動も注目されています。安田さんが10代のころから大好きという『星の王子さま』から印象的な一節を選び、自身の記憶と想いを綴ったエッセイ集『星の王子さま 私をつくっているたいせつなものたち』(きずな出版)を今年出版されました。
幼い頃、女優としての戸惑い、母としての愛おしい日々など、人生の愛と大切な記憶が詰まった一冊。その中から、2篇をピックアップしてご紹介します。ご本人の挿画も注目です。
Essay1_どうしてだろう?
一生懸命になりすぎると楽しめなくなって、そのうち苦しくなり始める。
それが過ぎると、自分自身が置き去りになる。
いま自分は何が食べたいのか、お腹がすいているのかどうかまでわからなくなって。
やらなきゃならないことも手につかず、眠れなくなったり……。
そういうときには、そんな想いも味わっていればいいのだけれど、そう長くは続けられないです。病気になります。
誰よりも、常に自分を一番に愛していれば、バランスはとりやすいのかな。
心の遊びというか、余裕をつくる。
距離。
Essay2_嬉しくなっていく時間
辛抱って、つらくて大変だけど、「我慢」とは違って、なんか、いいですよね。
辛抱って、その先に光というか、明るさがちゃんと待っているんだ、と信じています。
望みを心に抱いているーー
前向きな想いが隠れている感じがします。
よくあることですが、ひたすら長ーい話を、「辛抱して聞く」と「我慢して聞く」では、話をしている人に対しての思いやりというか、その人に興味があるかないか、というぐらい違うものですよ。
興味を持つということは、それだけで、そこに愛のようなものがあるから、人とつながる可能性を秘めている。
興味もなく無関心になってくると、そこからは何も生まれない。
ですが、ねー。
いくら愛をもって話を聞いていても、あまりに話が長く、
さほど面白くなかったりすると、強い睡魔に襲われちゃうんですよね。
そういえば我慢って眠くならないけど、
辛抱って過ぎると眠くなる。
眠いのに、とりあえず目を開けていなきゃならないって、ほんと、笑ってしまうほど辛いですよね。
愛からの辛抱って、睡魔との戦い。
あるある! ありますよね?
私だけ?
安田成美・やすだなるみ
朗読劇『星の王子さま』などに出演し、女優として仕事と家庭を両立しながら幅広く活躍している。著書に『愛だナ!』(主婦の友社)、『日々を編んでいく』(宝島社)ほか。
代官山の蔦屋書店でイベントがあります。
ちょっとだじゃれたかるた展
読むとちょっと可笑しくて、観るとなんだかふしぎ。ことばと絵が遊びだすかるたを、さく・なるみ、絵・かん太でつくりました。
「きつねのきねつき きつつききづく」
「くつ下の下のくつの下の舌」
声に出すと楽しくて絵札を眺めると想像がむくむくふくらむ『ちょっと「だじゃれかるた展」』。
子どもも大人も、誰もがクスッと笑える。ここは、ことばと絵がつくる小さな遊び場です。どうぞのんびりと、だじゃれかるたの世界を楽しんでいってください。
会期 :2025年11月17日(月)~11月24日(月)
場所:蔦屋書店2号館1階 ギャラリースペース
主催:代官山 蔦屋書店
共催・協力:株式会社マザーカンパニー
問い合わせ先: 03-3770-2525
BOOK INFORMATION
星の王子さま 私をつくっている大切なものたち
安田成美さんが『星の王子さま』から印象的な一節を選び、自身の記憶と想いを綴ったエッセイ集。幼い頃のこと、女優として感じてきたこと、母としての愛おしい日々など、素直でのびのびとした文章で紡いだ20篇が収録されています。
文・イラスト/安田成美