【クウネルふた旅】発酵食・舟遊び・パワースポットetc.『佐原商家町ホテル NIPPONIA 』で充実の週末旅

忙しい日常を忘れて気心の知れた女友達と週末旅へ。ノスタルジックな町並みで、その土地ならではの食や文化に浸る…週末の1泊2日で充分にそんな旅の醍醐味を楽しめるスポットを見つけました!
東京駅から高速バスを使えば約90分でアクセスできる千葉県香取市佐原。利根川へと続く小野川を中心に、商家町として栄えた江戸時代の面影を残す小さな町にはぎゅっと旅の魅力が詰まっています。
宿泊したのは、歴史的な蔵や商家を改装した『佐原商家町ホテル NIPPONIA 』。佐原の町全体をホテルと見立てて、町に溶け込むように泊まる。古さと新しさを同時に体験できるユニークな宿泊体験をレポート!
目 次
分散型ホテル『佐原商家HOTEL NIPPONIA 』へ、まずはフロント棟でチェックイン
今回は気心の知れた長年の友人との2人旅。若い頃は何度となく国内外を旅しましたが、お互い仕事や子育てに忙しくなり気付けば2人旅は約20年ぶり!
東京駅で待ち合わせて軽食を買い込み高速バスへ乗り込むところからワクワク。久しぶりのおしゃべりに花を咲かせていたら、約90分のバスの旅はあっという間。
滞在先の『佐原商家町ホテル NIPPONIA 』へは最寄駅の佐原駅北口から歩くこと徒歩10分。まずはフロント棟でチェックインします。

元は酒造店の味醂蔵だったというKAGURA棟。レストランやバーもこちらに。
町に溶け込むような新しい宿泊体験を提案する『佐原商家町ホテル NIPPONIA 』は、古い蔵や商家を改装した8つの棟に分かれています。フロントのあるKAGURA棟はその中心となる建物。
全部で14部屋の客室はそれぞれ元の建物の持ち味を生かしおり、部屋によってがらりと雰囲気が変わるのもユニーク。ホームページで事前にリサーチして好みの部屋を選ぶのも楽しい。
フロントスペースは、天井が高く広々。モダンな内装と歴史が共存していて一気に非日常のムードに引き込まれます。
江戸中期の穀蔵を改装したSHIPPOU棟の客室にチェックイン

個性的な客室から私たちが選んだのは川沿いの建物SIPPOU棟の2階建て客室501。
今や残されていることが希少な江戸中期に創建された建物で、佐原繁栄の立役者・伊能忠敬で知られる伊能家の穀倉を改装したそうで、期待も高まります。

約46平米、3ベッドルームの広々とした「501」。もちろん冷暖房完備で快適!
太い梁などに歴史を感じつつ、モダンで心地よいインテリアに旅のテンションも上がります。水回りとちょっとした寛ぎスペースがある1階、広々としたリビング&寝室の2階に分かれているから、それぞれのペースやパーソナルスペースを守りたい大人の【ふた旅】にもぴったり。
2階の窓からは町の中心を流れる小野川を眺めることができ、ゆっくりと舟が行き交う穏やかな光景に和みます。
うれしかったのは寛ぎスペースだけでなくワークスペースも確保されていたこと。同じ物書き仕事の私たちは旅先に仕事を持ち込んでしまうこともしばしば。朝は早起きして学生時代ぶりに椅子を並べ、朝食前に慌てて作業を終わらせたのも旅の思い出のひとつです。
まずは関東屈指のパワースポット「香取神宮」にご挨拶
初めての佐原観光。まずは関東屈指のパワースポット香取神社へ。
初代神武天皇の御代に創建されたと言われる香取神宮は、全国に約400社ある香取神宮の総本社。明治時代より前に「神宮」の名で呼ばれていたのは伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮の3つしかないそうで、由緒正しく歴史あるパワースポットとして多くの人が参拝しています。

目にも鮮やかな朱塗の楼門は重要文化財に指定されています。
宿泊者限定のアクティビティ『香取神宮に深く触れ心を満たす特別体験』では神主さんが歴史や参拝の作法を教えてくれるうえに国登録有形文化財である拝殿で、通常はなかなか体験できない正式参拝も体験できるので、より深くその歴史やパワーに触れたいという人にはおすすめです。(※参加費8000円、要事前予約。詳細はホームページを参照)

檜皮葺きの屋根が美しい拝殿と本殿。
境内に足を踏み入れると、静謐な空気に身が引き締まります。香取神宮は勝負事や厄除け、開運などにご利益があるそうで、神主さんの指導のもとしっかり参拝してきました。
印象に残ったのは建造物としての美しさ。珍しい檜皮葺きの屋根は伝統的な工法により独特の美しいラインを作り出しているそうで、黒漆塗りの社殿とのコントラストも美しく時間を忘れて見惚れてしまいました。

山道の石灯籠には鹿の彫刻が。
参道のまわりには歴史を感じる灯籠が並んでいて、ひとつひとつに神の使いと言われる鹿が彫られています。これは奈良の春日大社との繋がりを表しているそうで、神主さんの解説により香取神社の歴史や背景をより深く感じることができました。
「黄昏舟」で佐原の町並みを優雅に眺める

『佐原商家町ホテル NIPPONIA 』のアクティビティのひとつ「夕暮れ時の水郷 佐原を巡る黄昏舟」。
江戸時代は商家町として栄えた佐原。小野川沿いやその周辺には呉服屋、酒蔵などの古い建物がそのまま残っており重要伝統的建造物保存地区の指定も受けています。
町を歩くだけでタイムスリップ気分が味わえますが、より優雅に散策したいなら宿泊客のためのアクティビティ「夕暮れ時の水郷 佐原を巡る黄昏舟」にぜひ参加を。
水郷の佐原には船頭の伝統があり、昔ながらの装いをした船頭さんと共に舟に乗り込み、約1時間ほどの舟遊びが楽しめます。風情あふれる舟の上から歴史的な町並みを眺め、風を感じながら黄昏ていく空をのんびり眺める…日常から解放されてふっと心がほぐれていくような、特別な時間を満喫しました。
「夕暮れ時の水郷 佐原を巡る黄昏舟」
貸切:大人 2名 26,400円 追加 2,200円/名、子供(2歳~小学生) 1,650円/名
※5日前20時までに要予約
おまちかねの夕食は、佐原の食材&伝統を取り入れた発酵×フレンチ

和洋折衷な雰囲気が素敵なフレンチレストラン「LE EN(ルアン)」
醸造の町としての顔も持つ佐原。良質な米でできる日本酒や酒粕、味噌や醤油といった醸造業が発展し、地元産の食材と発酵食へのこだわりが歴史とともに進化してきたそうです。
地産地消をテーマにしたフレンチレストラン「LE EN(ルアン)」では、酒粕や発酵食品をフレンチのメニューに組み込んだオリジナルコースが楽しめます。お酒好きなら蔵元直送の日本酒とのペアリングコースもおすすめ。
私は食前酒に味醂蔵にちなんだ味醂トニック、下戸の友人はノンアルコールのピーチ味醂トニックをいただきましたが、どちらもまろやかで滋味深い美味しさ。
前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザートと続くコース料理は、味はもちろん目にも美しく満足感たっぷり。伝統を大事にしながら進化していく佐原ならではの食体験に刺激をもらいました。(※メニューは季節やコースに応じて変わります)
ふたたび訪れたい、佐原の町と『佐原商家HOTEL NIPPONIA 』
快適なベッドでぐっすり眠り、檜の朝風呂でシャキっと目覚めたら夕食と同じフロント棟のレストランで朝ごはんをいただきます。甘酒や酒粕汁など、朝から発酵食で腸活! 地産の新鮮な野菜や魚を使ったメニューで朝から幸せ。

甘酒や粕汁など発酵文化を取り入れた和朝食。
朝食を終えたら再び佐原の町歩きへ。佐原を語るうえで欠かせないのが初めて実測による日本地図を作成し、その後の日本の発展に大きく貢献した伊能忠敬の存在です。

宿のすぐ近くにある「伊能忠敬記念館」や「伊能忠敬の生家」を巡り、測量学、天文学だけでなくビジネスマンとしても優れた才覚を持った伊能忠敬の功績により商業の町として佐原が栄え、その歴史が今も続いていることを知りました。伊能忠敬が日本地図作成のために全国を測量する旅に出たのは、当時は隠居世代と考えられていた50歳を過ぎてからなのだそう。
マチュア世代の可能性はまだまだこれから!と、前向きな気持ちで旅を締めくくることができました。

県の指定文化財「中村屋商店」を改装したNIPPONIAのカフェ。
古い建物をそのまま残すのではなく、宿泊施設として新たな役割を与える『佐原商家HOTEL NIPPONIA 』の取り組みにも感銘を受け、ふたたび帰ってきたい宿になりました。
最後に次に泊まってみたい客室の一部をご紹介します。
他にも愛犬と一緒に泊まれるドッグフレンドリーな部屋、伊能忠敬により深く触れる宿泊プランなど、選べる旅のスタイルは多彩。
10月と7月には豪華絢爛な山車で知られる「佐原の大祭」も開催されるとのことで、次の旅先候補に佐原を加えてみてはいかがでしょうか?
『佐原商家町ホテル NIPPONIA 』
住所:千葉県香取市佐原イ1708-2(KAGURA棟)
予約・お問い合わせ電話:0120-210-289
https://www.nipponia-sawara.jp/
写真・文 吾妻枝里子