墓石コーデ?!それも上等!作家・甘糟りり子さん流、グレーを色っぽく着こなすおしゃれのコツ

作家の甘糟りり子さんのおしゃれと美容にまつわるエッセイ。寡黙で無難な”あの色”のコーディネートに長年試行錯誤しているという甘糟りり子さん。着こなせたら最高に色っぽい、還暦を過ぎても色気は諦めない!そんな心意気で見つけた、”あの色”のコーディネートの最適解を綴ります。

寡黙な灰色を着こなすのはなかなかむずかしい

灰色をかっこよくはなやかに着こなしたい。

ずっとそう企んでおります。この寡黙で無難で地味な色をフェミニンに着こなせたら最高に色っぽいじゃないですか。はい、もちろん、還暦過ぎても色気パートも完全にはあきらめてはおりませんよ。男女関係なく、中年には若い頃とはまったく違う色気があるはずと思いますので。

なーんて意気込んではみたものの、中年の灰色コーディネイトは危険がいっぱい。カジュアル過ぎると「あらお引っ越しですか?」になっちゃうし、シンプル過ぎるとおじさんになっちゃうし。単なる地味になりやすい。このエッセイの担当者は全身灰色でコーディネイトしたら、パートナーに「墓石」って言われたそうです。思わず笑っちゃいましたけれど、私もしょっちゅう墓石コーデになっているはず。

なかなかむずかしい色、それはグレー。灰色。

灰色コーデの差し色は何色が正解?

墓石コーデにしないために手っ取り早いのは差し色ですよね。

かつて、全身灰色の時は赤いバッグを持ったり、パープルのスニーカーを履いたり、何かしらわかりやすい派手な色を投入しておりました。絶対に着ることのなかった色ピンクのカーディガンを肩にかけるためだけに買ってみたりもして。

しかし、ある日のこと、気がついたのです。それって本来のグレーの魅力を活かしていないということに。灰色は墓石だからいいんです。私は断固そう思う。森羅万象すべてのものの引き立て役であるこの色に私はひかれます。

そう気がついてから、私の灰色コーディネイトの差し色は「黒」と「白」になりました。シックな灰色を引き締めるための黒、シックな灰色を反射する「白」。墓石コーデの時はこのどちらかを差し色にすることにしております。

墓石上等。

なーんてね。どうしてついヤンキーな言葉遣いになってしまうのか。これでは「シック」なんて程遠い。灰色を着こなせるわけがありません。ヤンキー言葉は慎まねば。言葉もファッションの一部ですから。

松倉クリニックの貴子先生と。普段は楽ちん&カジュアルばかりですが、パーティーではやっぱり小さなバッグとハイヒールだなあと改めて思いました。

『トゥモローランドB』のグレーのセットアップがお気に入り

先日、ミッドタウンの『Ca BAN』でグレーのトップス&パンツのセットアップを買いました。最近お気に入りのブランド『トゥモローランドB』のものです。薄手のレーヨン、明るめのグレーに細いゴールドのラインが螺旋状に入っております。私の目指す「灰色をはなやかに」が着るだけで実現しそうなセットアップ。

墓石コーデには黒か白と決めておりましたが、ささやかな金もいいものだと知りました。灰色の地味さ加減を際立たせてくれるのですよ。同じ理屈で銀なんかもいいかもしれませんね。

展示会で見て気に入っていたものの、その時は暑い真っ盛りでウール素材の服のイメージがわかず見送ってしまったのですが、ずっと頭に残っていて、冬の終わりに買ったのでした。

こちらのパンツが思った以上に出番が多い。ボトムスはウエストがゴムという楽ちん仕様。薄手のウールだから、肌寒い春先にも最適。白いスニーカーを合わせてカジュアルに着ることが多いですが、ミニバッグにハイヒールを合わせれば、途端によそ行き仕様になります。なんて都合のいいパンツなんだ! 毎日のように着用しておりまして、せっかくセットアップなのに上と下の風合いが違ってしまいそうであせります。

先日は、同じ歳のファッションデザイナーである丸山敬太さんの還暦大祝賀宴にこのセットアップを着ていきました。パールのロングネックレスの重ね付けをして、久しぶりに11センチのヒールを履き、ラインストーン付きのミニバッグを持ちまして。会場はもうおしゃれな人しかいない世界。楽しかったせいか、ハイヒールで立ちっぱなしでも大丈夫でした。もっとヒール履こう!

カシミアの薄手のニットは春先に便利。シルエットが気に入ってます。色違いも検討中。

同じパンツですが、シンプルなニットやスニーカーにするとかなり印象が変わります。この日のスニーカーは友人が早めの誕生日プレゼントに贈ってくれたもの。『ナイキ』の〈エアマックス〉です。さりげなくヘビ柄があしらってあって、これは墓石コーデのアクセントになりそうです。

白いスニーカー、大好き。早く素足で履きたいものです。

グレーは着る人の個性を際立たせる色だと思う

グレーのシンプルなジャージワンピースは『COS』。これは旅行用に買いました。扱いが気楽ですし、合わせるもので場面も季節も幅広く対応できるので重宝してます。

この日はベルト代わりにボーダーのニットを腰に巻きました。このニット、中学生の時に買ったコムデギャルソンのもの。私、意外と物持ちいいんですよ。

トレンチコートとバッグはかなり前の『サンローラン』。昔の不良がこういう学生鞄持ってましたよね。またヤンキーな話題になってしまった。

これにチノのコートを合わせるのは地味×地味ですから勇気が入りますが、差し色の誘惑を断ち切りました。ついスニーカー履いちゃったけれど、こういう時こそヒールを履くべきでしたね。

近所のウォーキングやらゴルフの練習やらのために灰色のジャージ類、フーディー(最近はパーカって言わないの?)もスウェットパンツもたくさん持ってます。中でも登場回数が多いのは「ユニクロ+J」。この日はハイク×アディダス・オリジナルスのヘビ柄パンツを合わせました。

冒頭の写真の説明をしますと、ジャージのブルゾンはトッズ。ファスナーにレザーの飾りがあったり、細部が凝っているんですよ。買ったのは10年くらい前。今風のビッグシルエットとは真逆の形ですが、大切に着ております。合わせたスカートは『COGTHEBIGSMOKE』。このコーディネイトには大きめの黒いバッグがいいかなと思い、久しぶりにバーキンを引っ張り出してきました。

こんな感じで灰色中心の墓石コーデを日々探求しております。

灰色は没個性の象徴のように言われることも多々ありますが、私は着る人の個性を際立たせる色だとおもっております。良い面だけでなく、その人のマイナスも強調してしまう。

だからこそ、私のワードローブの大半を占める黒や紺だけに頼らず、この色を手懐けたいのです。

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この記事の
プレミアムメンバー

甘糟りり子

1964年生まれ。幼少より草花に囲まれた鎌倉の家に暮らす。『産まなくても、産めなくても』、『産む、産まない、産めない』(ともに講談社文庫)など、出産にまつわる物語が多くの女性の支持を得ている。『鎌倉の家』(河出書房新社)や『鎌倉だから、おいしい。』(集英社)などでは、鎌倉での暮らしの魅力と愛情を綴っている。その他著書として『バブル、盆に返らず』(光文社)も。
Instagram:@ririkong

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