【大草直子さんの提言vol.2】艶のある素材とドライな素材のミックスで、着こなしは立体的になります

ファッションエディター、スタイリストとして幅広く活躍する大草直子さんの新刊エッセイ『見て 触って 向き合って』(マガジンハウス刊)が話題です。年齢を重ね、体型も心持ちも変化していく50代の大草さんが、「引いたり、足したり」をキーワードに、いまの自分にフィットする美容やファッションについて深く考察。

ファッション、スキンケア・下着選び・メイク・スカルプケアを見直すなど、大草さんが日々実践している大人のTIPS集から、とっておきのアイデアを紹介していきます。

気鋭のファッションエディターが本音で明かしたエッセイ『見て 触って 向き合って』(マガジンハウス)から、一部を抜粋して紹介します。【大草直子さんの提言vol.1】とびきり似合う2枚の服の「奥行きをつけていけば」、着こなしは安定しますからの続きです。

ツヤツヤとカサカサをミックスさせる

ツヤツヤはシルク、エナメル、そしてライダースなどのレザー、ジュエリー。
カサカサは、リネン、洗いざらしのコットン、ウールなど。

艶のある素材と、ドライな素材を組み合わせることを意識すると、着こなしは立体的になります。それは、例えば、光(=ツヤツヤ)と影(=カサカサ)のある写真がドラマティックなのと同じ。ウールのニットとウールのパンツ、スウェードの靴とバッグ。対して、ウールのニットの下にシルクのブラウスを合わせて襟とカフスを効かせ、バッグと靴をエナメル素材にチェンジ。どちらが人の印象に残るか一目瞭然です

ざっくりニットにはサテンのスカートが映える

難しかったら、ワントーンコーディネートのときに練習してみましょう。特にオールブラックに素材の緩急をつけると、違いがよくわかると思います。黒であれば、小物も含めてさまざまな表情のアイテムを持っていますよね。あえて統一しないことで、「ひっかかり」というのでしょうか。人の記憶に「気になる何か」を与えることができます。

話は逸れますが、テイストミックスなんかもそういうことです。レザーのライダースという「バイク乗りが風を防ぎ、転んだときにも身を守る」ための、究極の男っぽいアイテムと、レースのスカートを合わせると、あまりに違う出自の2つのため、そこに「ひっかかり」が生まれます。
素材合わせに慣れたら、テイストミックスも絡めて。と、少しずつ挑戦できると面白いですね。

かっちりしたレザージャケットはフェミニンに

肌と髪も、着こなしの素材の一部

目の前の人が着ている服。色、デザインは真っ先に目に入ってきますが、実は後で思い出すのは、その人が身に着けていた素材だったりします。

ナチュラルなヘビーリネンはイタリアンマダムのような迫力があって、とろんと流れるシルクは、やっぱり色っぽい。それは、長く人の記憶にステイします。そう、素材は、着ている自分だけではなく、実は、着こなしが伝える情報としても、とても重要なのです。

だとすると、全身の中で多くの面積を占める肌と髪もカラーやフォルムだけでなく、素材感を意識してコーディネートすると、より、おしゃれはクリアで確かなものになるのではないでしょうか。肌と髪の素材感って? 何だか難しい? いやいや、とても簡単なんです。目指すのは、ヴェールをまとったようなフォギーか、艶のあるウェットか。

例えば、洗いざらしのデニムのワンピースを着るとき、肌と髪はどうする?

私なら、顔の肌、デコルテはたっぷり保湿をして、ハイライターを使って艶やかにします。髪はオイルやワックスでセミマットに。乾いたデニムが、うるっとした肌と髪があることで、大人のラグジュアリーカジュアルになります。

対して、元々艶のあるシルクのブラウスのときは、パウダーを丁寧にはたいて、マットでよそゆきの肌に。髪も、オイルを使いすぎるとトゥーマッチなので、はらりと束感をうまく出した質感に。

こんなふうに、服の素材と対比させて考えてみると良いでしょう。例えば、最近コットンのTシャツが似合わなくなったな、と感じたら、肌や髪の艶が足りなかったのかも、と、意識するだけで良いと思います。

ハイライターでオススメは、THREEの「シマリング グローデュオ」。顔にも首、デコルテにも使います。パウダーはまさにフォギー感が出るSUQQUの「スックザ ルース パウダー」。ワックスは、私はウカの「ヘアワックス グロッシーニュアンス」一択。オイルはダヴィネスの「オーセンティック オイル」が使いやすいです。

※本稿は『見て 触って 向き合って』(マガジンハウス)からより一部を抜粋・編集したものです。

詳しくは発売中の本書を

見て 触って 向き合って~自分らしく着る 生きる

ファッションエディター、スタイリストとして幅広く活躍する大草直子さんの新刊エッセイ。年齢を重ねファッションや美容の考え方が変わるなかで、「引いたり、足したり」を軸に自分との向き合い方を説く。ファッション、スキンケア・下着選び・メイク・スカルプケアを見直すなど、大草さんが日々実践している大人のTIPS集。

見て 触って 向き合って~自分らしく着る 生きる』(マガジンハウス)
1,650円

大草直子/おおくさなおこ

ファッションエディター・スタイリスト。1972 年生まれ、東京都出身。大学卒業後、婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『ヴァンテーヌ』の編集に携わった後、独立。2019年にはメディア『AMARC(アマーク)』を立ち上げ、「私らしい」をもっと楽しく、もっと楽にするために、ファッション、ビューティ、生き方のレシピを毎日発信している。
2021年には、「AMARC magazine」を発刊。ファッション誌、新聞、カタログを中心に活躍するかたわら、トークイベントの出演や執筆業にも精力的に取り組む。

イラストレーション/原 倫子

SHARE

IDメンバー募集中

登録していただくと、登録者のみに届くメールマガジン、メンバーだけが応募できるプレゼントなどスペシャルな特典があります。
奮ってご登録ください。

IDメンバー登録 (無料)