【住まいの履歴】66歳で購入した家は、昭和生まれのリノベ団地。広いLDKが決め手でした

各界著名人の気になるお住まいを拝見。これまで住んできた家のお話も合わせてお聞きする「住まいの履歴」。今回はD&DEPARTMENTコーディネーター、中小企業診断士の重松久惠さんのお住まいです。

広いLDKが決め手の団地を さっぱり心地よく整えて。

家の両側の窓にはケヤキの葉が迫る。目に気持ちの良いそんな景色もお気に入りのひとつ。ダイニングチェアはゲストが来るように6脚スタンバイ。クッションは自身で織った手づくり。

郊外に建つ昭和生まれの団地。そこの一室へ重松久惠さんが越してきたのは、2年前、66歳のときでした。決め手は間取り。 26畳のリビングダイニングと6畳の寝室の組み合わせが、重松さんの暮らしのスタイル向きでした。

料理が好き、人と語らうのが好き。そんな重松さんは月に2回ほど、友人たちを招いて食事会を開くのがライフワーク。テーブルにつける定員6~7人のゲストが、食べて飲んで、ソファでくつろいで......。思い思いに過ごせるよう、「メインルームは大きくゆったり」は譲れない条件でした。

壁一面に置いたシェルフは『D&DEPARTMENT』のタフなもの。棚の上のかごは国内外の工芸品。手仕事の道具などを収納。

団地というチョイスは、ふとした思い付きから。「これまで都心の賃貸暮らしでしたが、いつまで家賃を払い続けるの?と思い、買うことに。趣味の機織りを深めるため、地方の生地産地も候補だったのですが、なかなかいい物件に出合えなくて。予算も限られているし、ちょっと郊外の団地は?って思ったんです」

大きなソファのクッションは、パッチワークをして手づくり。

そうして、出合った一軒目で決着。理想的な間取りに加え、こざっぱりリノベ ーションされている点も気に入りました。 そして、少女時代を過ごしたエリアに近く、土地勘もあったことも後押ししてくれたのです。

かつて、離婚して、事業も失敗して......、という苦い経験のある重松さん。そんな人生の底で一人暮らしを 始めるとき、「住むなら、慣れた土地が何より一番」というアドバイスをもらったことが強く頭に残っていたのです。

ベッドのみのシンプルな寝室。壁の絵は友人の漫画家・堀 道広さん作。オーダーして入れた障子が光を和らげている。

レモンケーキを焼いてもてなしてくれた。大きな角皿は、自身で金継ぎしたもの。先述の堀さんに習っている金継ぎはプロ級の腕前。

「6畳二間の簡素な住まいでしたが、そこにもやっぱりお客さんをしょっちゅう呼んではごはん会をしていたな」

そこからいくつかの家を経て、手に入れた心地よい住まい。重松さんはいま、自分のやりたい仕事と暮らしをパワフルに、自由に、謳歌しています。

住まい年表

51歳 ~ 55歳 神宮前の6畳二間の家
離婚して初めての一人暮らし。少ない資金ながらも、「住み慣れた街が 一番」とのアドバイスもあり、なじみ深い都心に住まいを見つける。

55歳 ~ 66歳 池袋のマンション
東日本大震災を機に転居。大学院での猛勉強を経て、中小企業診断士に。『D&DEPARTMENT』での仕事も始め、今後の道筋が定まった時期。

PROFILE

重松久惠/しげまつ・ひさえ

D&DEPARTMENTコーディネーター
中小企業診断士
ファッション誌の編集、デザイン会社などのマネジメントを経て、『D&DEPARTMENT』のコーディネーターに。中小企業診断士の資格を 58歳で取得し、さまざまな会社のアドバイザーとしても活躍。旅と料理、手仕事をこよなく愛す。

『クウネル』2024年9月号掲載 写真/馬場わかな、取材・文 /鈴木麻子

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『クウネル』NO.128掲載

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