柔らかな日差しに満ちる、コクーンのような安らぎの空間。パリ在住ギャラリーオーナーのくつろげる部屋(後編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回はギャラリーオーナー ・ミランダ・サルトさんのお部屋です。

前編はこちら

間取り

夫、長男と3人暮らし。「急に体が大きくなった息子のために子供部屋のレイアウトを変える必要が出てきました。ベッドが小さくなったのでロフトを作ろうかと考えています」

光と影が、インテリアに息づくようなニュアンスを。

義父はフレスク・オ・エードと呼ばれる彫刻の技法を生み出した70年代を代表する彫刻家である。海岸で拾った石や貝、キャンドルを並べて。

インテリアの中心となるのは大きなパープルのソファとダイニングテーブル。

「ソファはイタリアの『ZANOTTA』のもの。色が気に入ったので、同じ色調の布をセミオーダーした、ピエール・ポランのひとり掛けソファを合わせました」

一方、ダイニングテーブルの背景にしたのは、アーティストである義父、ピエール・サバティエールの作品です。

「義父がインスパイアされていた自然のオブジェを手前に飾り、作品とのバランスを考えたインテリアに。また建物との相性も考え、ウッドの温かみ×硬質的なメタルや工業デザインをミックスして、家の中をリズミカルにしたつもりです」

ベッドルームは白を基調にまとめ、リビングと同じピエール・ポランのソファをアクセントに。ミランダさんは読書が好きなので、天井までの特注本棚もリノベイトのときにオーダー。

「増えすぎた本は田舎にあるセカンドハウスに運び、これ以上増えないようにしています」。

サンルームに続く入り口の横にカウンターをつくり、インダストリアルなチェアを。ひとりで食べる朝食やランチはおもにここで。友人が来たときのアペロにも活躍するコーナー。

もともとは中庭の通路だった部分をリノベイトでサンルームに。ソファに並行して壁には小さなアートを整然と並べた。

バスルームには30年代に流行った小さなスクエアタイルを敷き詰めた。バスタブの脇に飾った客船の模型は息子の作品。

芸術家の祖父の影響か、14歳の長男が作った動物の陶芸オブジェや写真なども多く、家のあちこちに飾っています。

「大ぶりな観葉植物や花、ライトで、家の中に陰影をつくることも心地よいニュアンスを生みます。イメージとしては美しい光が差し込む教会のような感じ。好きなもの以外は極力隠して、ものをごちゃごちゃ見せない工夫もしています」

ゆとりある空間に、家具やオブジェ、アートが心地よく息づいて見えます。

PROFILE

ミランダ・サルト/Miranda SALT

オーストラリア・メルボルン生まれ。大学卒業後、すぐに渡仏。広告代理店に勤務後、2018年に写真専門ギャラリーをオープン。 Instagram:@galeriemiranda

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/篠 あゆみ、コーディネート/鈴木ひろこ、文/今井 恵

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『クウネル』NO.127掲載

くつろげる部屋が好き!

  • 発売日 : 2024年5月20日
  • 価格 : 1000円 (税込)

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