切る、塗る、埋める…住んでつくり続ける“箱”。『オルネドフォイユ』デザイナー・谷ヒュンスクさん（前編）

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回は『オルネドフォイユ』デザイナー・谷ヒュンスクさんのお部屋です。

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間取り

築3年、85平米で3人暮らし。居住スペースをできる限り広くとるために廊下は設けず、リビング以外の部屋もぎゅっとコンパクトに。こだわった天井の高さは3mもあり開放的。

住み始めてからが家づくりの出発点。

キッチン横のコーナーは猫のチャイもお気に入り。大きな窓からは、空や町の木々が見え、ほっとくつろぐのに最適な場所。かわいいソファは、ベンチにウレタンマットと自作カバーを組み合わせてDIY。

――「＃建てると住むの間」。

インテリアショップを営む夫・卓（あきら）さんが、妻・ヒュンスクさんとともに、自分たちの手で家をつくり上げる様子を紹介しているインスタグラム（＠orne_ie）のハッシュタグです。このアカウント、家の竣工から2年以上経過したいまも現在進行形。「建てる」と「住む」の間に、「つくる」をはさみ、理想の家づくりをじっくり味わっているのです。

「自分たちらしい家で暮らしたい」と、家の新築を決めた谷夫妻。1年以上かけて緑に囲まれた理想の土地を見つけ、何人もの建築家に会い、建てたのは「シンプルな白い箱」のような家でした。ただ、その「白い箱」というオーダーが当初はなかなか難しかったようで……。

「建築家の方とのやり取りで、自分たちが思う方向性になかなかいきつかなくて。自分の頭の中にあるイメージを伝えるのも難しい。そこで、妻とふたりで模型を作ってみたんです」と卓さん。すると、自分たちが家に求めているものもはっきりしました。それからは割とスムーズ。夫妻の意図を汲んでくれる建築家と出会い、「白い箱」づくりは進みました。