【住まいと暮らしvol.47】理想はずぼらだけど美しさを感じる、自分らしい住まいー編集者 望月早苗さん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回のかのうかおりさんのバトンを受けてご登場いただくのは、編集者の望月早苗さんです。

望月さんの暮らしのルール

1)「トントンと、揃える」これだけはする
2)いろいろなところに家族の居場所をつくる
3)気楽で、楽しくて、心地いい、を大事に

子育てライフスタイルの編集長、雑誌や書籍などの編集を手がけ、現在フリーランスの編集者として活動する望月さん。ファイナンシャルプランナーとして個人コンサルをしたり、仕事のディレクション、整理収納アドバイザーなど、暮らしを整える仕事を幅広くされています。

「一体何をしている人なの?という感じですが、広くとらえて、やっぱり編集者なんです(笑)。人の暮らしもお金のことも、家を整えるのも“編集”。さまざまな点を丁寧にとらえ直して、つなぎ合わせてみると、その人らしい生き方がちゃんと見えてくる。そこを考えていくのが、編集と同じなのかなと思っています」

家のなかのことも同様に、どう心地よくいられるかを考えているそう。

「自分の好きや美しさ、家族の存在など、いろいろなことが入り混じりますが、整っていることが最適解ではなく、感じよく散らかっている状態や、どうしたら気楽に過ごせるのか考えたり。ずぼらのなかの美しさのようなものを探しています。

広々としているところ、窮屈なところ、明るいところ、暗いところ、風が抜けるところ、ピタッと止まるところ、ザワザワしているところ、そのメリハリがあるのが家なのかなと。いつも誰かの気配を感じながら、小さくても使いやすく、楽しい家になるといいなと思っています」

コンパクトなキッチンは、できるだけシンプルに。「色数は少なく、木のもの、白、黒がベース。調味料は塩と砂糖のみ出しておく。家族みんなが料理しやすく、掃除も簡単です」

食器は基本的に大皿盛り。「大きめの丸皿、鉢もの、オーバルなど。作家さんの個展で買うことが多いです。夫の兄が陶芸家なので、器も多めです」

カトラリーの収納は、IKEAの木製の組み立て棚を使って。「仕切りを造作して使いやすく。キッチンではなく、ダイニングテーブルに一番近い棚のなかに収納しています」

保存容器は取り出しやすい場所に設置。「上から見てすぐに何があるかわかるように。白のホーローと半透明のプラスチックのものがメイン。子どもが小さな頃はストックが多かったのですが、今は食べ盛りなので食べきりスタイルに」

シンク下の大きな引き出しには、鍋類を収納。「無印良品の書類整理用のボックスを使って、片手鍋、フライパンなどを整理。上から見て何があるかすぐわかるように。片づけやすいことも、楽しいキッチンにおいては大事なポイントです」

定期的に布巾の煮洗いをしているという望月さん。「鍋も布巾も白くなって一石二鳥。酸素系漂白剤を小さじ1入れて煮洗いします」

すっきりとした望月さんのリビング。「コンパクトなリビングなので、机の上はいつも平らに(何も置かないように)。子どもたちが宿題をしたり、ボードゲームをしたり、ときに卓球をすることも。アイロンがけも洗濯物たたみも、ここしかないのですべてここでしています」

ロフトから、木材の柔らかさと、すっきりとした白い壁のリビングを見たところ。「いつもとは違った目線で家のなかを見渡せるので、ときどき見下ろす時間を持つように心がけています」

階段を上がった先にある、押し出し式の窓。「窓枠が木製なので家の印象が柔らかくなっています。いってらっしゃいもおかえりも、この窓から」

子どもたちが今よく読んでいる本は、リビングに。「メインの本棚は1階。季節ごとに入れ替えています。子どもたちはいつも、ソファでゴロゴロしながら漫画や本を読んだり、ゲームをしていてかわいいです」

作品が映える白い壁。「予算の関係で、漆喰の質感に限りなく近いクロス貼りの白壁。tupera tuperaさんや柚木沙弥郎さんなど、好きな作品を飾って」

リビングには子どもの描いた絵を飾って。「1歳から中学生頃までに描いたものの中から、お気に入りを額に入れて飾っています」

時計はふたつ。留学中の息子さんがいるカナダの時間が、いつでもわかるように。

階段の天井はアール。柔らかな印象なので、家全体がたおやかな雰囲気に。

木のドア、小窓が楽しい玄関。「とにかく狭いので、靴が出しっぱなしにならないよう気をつけています」

玄関から1階の子ども部屋、寝室に繋がる土間。「丸型の木を置き、ここを飛んで行きます。飛び石ならぬ飛び木です(笑)」

寝室のコーナーにもさりげないアールが。「壁には柚木沙弥郎さんのリトグラフ。木の小棚も設置。空間を贅沢に使うことも大事なことだと思っています」

衣類は取り出しやすい数に。子どもでも何があるかわかるようにしているそう。

リビングから続く洗面所。鏡に映る背景も、家の雰囲気を作り出しています。

5年前に庭に植えたという30cmのユーカリが、今では5mの大木に。「一輪挿しに入れたり、家のなかはいつもユーカリのグリーンでいっぱいです」

 

1週間に1回、家族の予定をみんなで聞き合い、シートに書き綴っているという望月さん。「4年以上続けています。今ではこのミーティングシートがないと、生活がまわりません」

profile

望月早苗/もちづきさなえ

編集者。2024年1月スタートの〈KOMAZAWA COMOREVI MAGAZINE〉編集長。独立系FP。日々の暮らしや時間の使い方、お金のことなど、生活全般にわたるコンサルティングも手がける。高2、小5、小1、2男1女の母。
Instagram@sanae.mochizuki

望月さんがバトンを渡すのは、「サルビア」を主宰するセキユリヲさん。「仕事、子育てを共に励まし合う、同世代のクリエイター。同じ視座で、自分の周りからコツコツと暮らしや社会を良くしていきたいと願う仲間です」と望月さん。セキさんの暮らしは、1月中旬に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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