整理収納アドバイザーの片づけ指南。ぎっしりものを詰めて動線を「封鎖」していませんか?

〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーで、整理収納アドバイザーの青木美詠子さんに収納のコツを教わる連載。それなりに整理しているつもりでも、どうしても乱れてしまうのは、ものの動線が「封鎖」されているからでは?と青木さんは考えます。

その「乱れ」には理由があるはずです

家の整理収納を考える時、「うちはどうしてこうなってしまっているのかなあ」と思うことはありませんか?「この間整理したのに」、「きちんと入れたのに」、「いつの間にか、乱れた範囲が広がっている」などなど。

私も昔からしっかり片付けができていたわけではなく、そういうことを繰り返してきたので、重々わかります。でも経験をつむにつけ、少しずつ乱れの原因を把握してきました。そこでよく起きている現象に名前をつけたりもしているので今回、そのひとつを取り上げてみます。

それは「封鎖」。例をつくってみたので、ご紹介しますね。TOP写真は、うちの食器棚。いつもこんな感じで、ここはうまくいっていると感じます。そこへ下記のように食器をぎっしり詰めてみました。でもこういう食器棚はよく見かけるし、いったいどこが悪いのかと思われる方もいるかもしれませんね。

他の棚から入るだけ移動し、前面に詰めてみました。

でもこれくらい詰めると、私には驚くほど使いにくく、かなりイライラしました。上の食器によって、下の食器が「封鎖」されているからです。取りたくても、いちいち上のものをどけないといけないから、一番上ばかり選ぶことも多かったです(特に食器は割れないよう気を使うので)。

もちろん元の食器棚でも数枚は重ねていますが、両手で、さっと目的のものに到達できる範囲なので、封鎖されているとは思わず、自由を感じます。

そしてこのぎっしり状態だと、奥のスペースはさらに封鎖がひどく、簡単にはたどり着けません。もちろん奥はあまり使わないものだからいいのだ、ということもあるでしょう。でもだんだん食器の取りにくさがひどくなったり、どこか他に置き場所をつくり始めたら、乱れの始まり。それはこの封鎖されたデッドスペースのせいなのです。

解決策は、悲しいかな、枚数を絞ること。でも全部出してみると、案外使っていないもの、好きではないものにも気づき、少し減ると思います。

どうしても処分できなかったら、箱に詰めて物置にでも入れ、時々入れ替えて楽しむ選択肢も。また日頃使う前面の封鎖だけは解くべく、後ろに多め、前は軽く重ねるなど試してみてください。

 

 

出し入れしやすくするための余白は大事です

そして「封鎖」は、家中のあらゆるところで起きます。私も「またやっちゃってるな」と思いつつ、しばらくして片付けることも多いのですが、とりあえずその現象に気づくのが大事かと思います。いくつか例をつくってみました。

引き出しの前に何かを置く封鎖。私の部屋のこの棚には、お風呂で読んだ本を湿気が取れるまで、しばし置いておこうと積むことが多いのですが、引き出しを使う時、どけるのが面倒。考えている解決策は「よく使う引き出しの前だけは絶対何も置かない&後ですぐ戻せるよう本棚の本を減らす」です(大幅に減らしました)。

本棚の前のちょっとしたスペースにも、何かを置きがち。そうすると、後ろの本は封鎖されて出せず、新しい本は床に置くことにも。しかも積んである小物が崩れたらすごく嫌な気持ちになるので、がんばって引き出しの中を空け、置く場所をつくりましょう!

家具の前に物を置く封鎖。ここに何かをしまえるはずですが、活用できません。また箱の上に何かが乗り始めたら、徐々にタワーがつくられ、箱も封鎖です。

これらがひどくなると、「物置にどんどん物を置き、歩ける通路を封鎖。奥までたどり着けない」現象も起こります。一部屋まるごと封鎖されると、あふれる物も増大するので、最低限「到達ルート」だけは確保しましょう。

家の中で「ここは封鎖されているな」と気づいたら、面倒でも全部出し、空になった空間を味わい、引き出しや棚を入れ込んで、いるものだけ取りやすく戻しましょう(スカッとしますよ)。

最初は慣れないので、迷ったら多めに戻しても大丈夫(何度も繰り返すと、これはいらないとはっきりわかります)。いろんな場所の封鎖を解くと、家の中で自由に使えるスペースが増え、ちゃんと物をしまえる場所も現れると思います。

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この記事の
プレミアムメンバー

青木美詠子

1963年生まれ。整理収納アドバイザーの資格をもち、不定期にさまざまな自宅セミナーを開催。個人へのお片付けサービスも行う。著書に『あおきみさんち、家を買う。』(マイナビ出版)など。長年実践する「冷えとり」に関する著書も。
https://www.aokimi.com/
Instagram:@aokimieko1616

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