蚤の市で見つけた家具に囲まれて。フランス流のセンスが光る部屋づくりのコツ【前編】

古いものを大切にしながら、完璧は目指さないのがフランス流。でも個性的で素敵な部屋が生まれる理由は、“好き”という気持ちにとことんこだわるから。今回は、蚤の市めぐりで集めたインテリアに囲まれて暮らす、日本人ご夫婦の素敵なアパルトマンを訪問。前編です。

PROFILE

唐川良子/からかわよしこ

山口県出身。22歳で画家の夫と共に渡仏。専業主婦として家庭を支え、33歳で長女を出産。子育てがひと段落した40歳に旅行関連の仕事を始め、現在はリタイア。

アパルトマンを暮らしやすくリノベ

画家である夫とともに、22歳でフランスに渡った唐川良子さん。

「結婚後まもなく、夫の長年の夢だったフランス行きが決まり、ほとんど会話もできないままパリでの生活が始まりました。しばらくは語学学校にも通いましたが、あまり勉強が好きではなく。日々の生活の中、耳で聞き、会話を繰り返すことで学び、日常生活には困らなくなったという感じです」

夫はパリ在住の油絵画家として人気の唐川武紀さん。夫婦共にフランス生活が50年以上となり、今やこの家が“私のふるさと”と話す唐川さん。

「私にとってふるさととは、心から落ち着けて、深く深呼吸ができる場所。今の家はそれほど心地よいのです」

花柄のベッドカバーの上に座り込んでいるのは、愛猫チメオくん。今やすっかり唐川家の子としてリラックス。大きな縦長の窓が2面ある、明るく気持ちのいいベッドルーム。

2006年から暮らすアパルトマンはパリの11区、北マレに近い場所にあります。購入後、この家をリノベイトしたのは長女で建築家のともこさん。

「娘は交通事故で車椅子生活になってしまいましたが、努力して建築家になったんです。彼女が私たちにとって暮らしやすく、自分が遊びにきた時も快適な家にリノベイトしてくれました」

キッチンはシンプルで機能的に

白を基調にしたダイニングルーム。テーブルと椅子は蚤の市で購入したもの。リビングルームとキッチンを仕切るのは、白いタイルの壁。

標準より低めに作ったキッチンは車椅子でも利用できる高さ。両親が使いやすいようにと、ともこさんがシンプルで機能的に設計した。ガスコンロは唐川さんのこだわり。

キッチンは車椅子のまま料理が作れるよう、標準よりは低め。作業台は使いやすく、メンテナンスも楽なステンレスを選びました。

「フランスではIHコンロがメジャーですが、私は炎で強さが見えるガスコンロにこだわりたく、4口のガスコンロをつけてもらいました」

このキッチンでご飯を炊き、味噌汁を作り、野菜のおかずを作り、メインは肉か野菜なのが、唐川家の食事。

「昔は洋食が多かったけど、最近はふたりとも和食が落ち着きます。レシピを探して野菜でお漬物を作ったりもします。かぶの千枚漬けとかね」

※後編に続きます。

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/篠 あゆみ、コーディネート/鈴木ひろこ、文/今井 恵

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『クウネル』No.122掲載

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