料理家・脇雅世さん、60代で古い京町家をリノベーション!東京と京都の二拠点生活【東京・神楽坂編】

日々をもっと輝かせるために、生活の拠点を2つにしたという人が増加中。最近、京都にも新たな拠点を構えた料理家・脇雅世さんの二拠点生活とは?今回は東京・神楽坂にあるご自宅とキッチンスタジオにお邪魔してみましょう。

PROFILE

脇雅世/わきまさよ

料理家。フランスのレストランなどで料理を習得した後、帰国して料理教室を主宰。テレビや雑誌などで活躍。出版した料理本の数は50冊以上。https://www.trois-soeurs.online/

テーマカラーのグレーが落ち着いた雰囲気をつくります

いまではポピュラーな対面式キッチンも、約30年前の改装当時は珍しかったそう。掃除しやすいステンレスのキッチントップは、いまでもピカピカ。

西のベースができて、二拠点暮らしは始まったばかり。とはいえ当面の生活基盤は東京にありそうです。東京の家は神楽坂にあり、加藤さんが生まれ育った実家を引き継いだものです。5階建てのコンクリート建築で、住居とキッチンスタジオは階を分けて使用しています。元は集合住宅で、細かく仕切られていた間取りでしたが、スケルトンにしてそれぞれをリノベーション。そのときのテーマも、「なるべく仕切りは作らず広い空間でゆったりと」。娘3人と夫妻との5人家族で暮らしてきた家(現在、娘3人は独立)なのに、ものが少なくすっきりしていることに驚きます。

コンロの高さは鍋の中がのぞけるよう、やや低目の78.5㎝に。換気扇は業務用をダクトなしで直付け。レンジフードの代わりにガラス板で仕切っている。

食器棚は取り出しやすいよう、奥行きを浅く作った。グレー色は、リノベーション時のテーマカラー。「汚れが目立たなく、家具とのなじみもよいです」

この家で脇さんが一番多くの時間を過ごすのは、やはりキッチン。カウンターにシンクを配したL字型にしました。カウンターの幅は約90㎝と特大サイズ。「ここは我が家のダイニングテーブルでもあるんです。ここで食事することはしょっちゅう。カウンターに座った家族とおしゃべりしながら料理ができるし、アツアツをさっと出せます」

キッチンを独立式にしなかったことで、ダイニングスペースも開放的になり、面積以上に広々と感じられます。キッチンも含め、「ものが出ている状態が好きではない」という脇さん。すべてのものには定位置があり、「出したらしまう」を徹底して、それが家全体のすっきり感につながっています。

「舞台」のように考えた赤い壁のキッチンスタジオ

居住スペースの階下にあるキッチンスタジオ。ガラス加工をした赤の壁が印象的。可動式のIH台も。

独身時代に過ごしたパリに、家族で1年暮らしました。子供が小さかったのでそれなりに楽しかったのですが、夫婦でパリを満喫できる時間は限られていました。今回の二拠点プロジェクトでも、実はパリも候補地でした。やはり、またパリでも暮らしたい。そう考えていた脇さんでしたが、コロナ禍を経て、距離のハードルが高く感じるようになったし、なにより「ディスカバージャパン」の気持ちが高まったのだといいます。「パリじゃなかったら、日本だとどこだろう?」。似ている都市ということもあり、浮上したのが京都なのです。

イギリスのアンティークのテーブルセット。必要最低限の収納しか置かず、住まいはすっきりと。

棚には家族の思い出を飾っている。「ここに入れられることを娘たちは『殿堂入り』と言っています」

夫の趣味である音楽スペース。テレビは置かず、家族で会話を楽しむことを優先した。

コロナを機に、料理教室のオンラインレッスンもスタートさせた脇さん。3人娘の長女はオンライン教室のPRや動画の担当になり、次女は料理家として活動するようになりました。ずっと神楽坂にいなくてもできることが増え、新しい挑戦もしやすい。だから、いま。ワクワクすることを優先し、前向きに進み出しました。

「生きる場所の考え方が数年で変わりました。二拠点生活もかつては『生活の場と別荘』というように、オンとオフが分断されがちでしたが、いまは地続き。東でも西でも食の仕事と趣味の生活ができるよう模索しています」

前編を読む

『ku:nel』2023年9月号掲載 写真/石川奈都子、取材・文/鈴木麻子

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『クウネル』No.122掲載

やっぱり、家が好き!

  • 発売日 : 2023年7月20日
  • 価格 : 980円 (税込)

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