【広瀬裕子さんのかろやかな歳の重ね方vol.7】もう55歳、まだ55歳。揺れる自分を楽しめばいい

55歳、おとなのまんなか 空

人生100年時代と言われる今。エッセイストとして活躍しながら、50歳目前で設計事務所での建築・空間プロデュースという新しい仕事を始めた広瀬裕子さん。昨年発売された著書『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)では、「もう55歳」と「まだ55歳」を行き来する「55歳の今」を描き、同世代の女性を中心に共感を集めています。

かろやかに年齢を重ねるヒントが満載の広瀬裕子さんのインタビュー、今回で最終回です。

――前回のインタビューでは、無理はしないで優先順位をつける。というお話を伺いましたが、広瀬さんはどのように優先順位を決めているのでしょう。

広瀬:クオリティを求める時、必要なのは思いと体力と時間。仕事はキャパシティ以上のものは受けられないので、物理的に優先順位をつけていかなくてはいけません。

そんな時、私の場合は「チーム」が判断基準になります。仕事は一生懸命やっても報われないこと、思ったような結果にならないこともありますが、みんながいいものを作りたいと思っていたらそこに向かっていけます。だからできるだけいいチームで取り組みたい。できる仕事の数が減っていくぶん、どれだけ自分が満足できる仕事ができたかが、今まで以上に大切になっていくと思います。自分が満足できないと気持ちが消耗してしまうんので。

――仕事以外の優先順位のつけかたも、年齢とともに変わりましたか?

広瀬:昔は「楽しいかどうか」が判断基準でしたが、今は現実的にその思いを保てるか、体力がつづくかを少し冷静に見られるようになってきたかもしれません。

とはいえ、そればかりだとつまらないですよね。例えば不安だからと備えることばかりしていたら今がきつくなってしまう。先々のことも考えつつ、美味しいものを食べたり旅をしたり、好きなことをして、生きている時間そのものを大事にしたい。そんなふうにお金や時間の配分を、自分のバランスで決めていけるようになったかもしれません。

ーー「老後はない」という章を読んで、自分で勝手に「老後」を設定して身構えていたのだと気づきました。

広瀬:「老後」は、誰しもそうですが、最初は遠いことなので、ただただ、、みんな不安がっているなって、どこか他人事のように思っていたんですね。確かに不安になるような要素が多すぎるし、不安になるような情報を目にするので、今はその気持ちが分かります。

本にも書きましたが、友人が「老後なんて本当はないのに」と言った時、「本当にそう」って。言葉ひとつで、視界がぱあっと開けたような感覚になりました。

定年など大きな変化があっても人生は続いていくし、仕事は需要さえあればずっとできる。私は何歳まで仕事しよう、いくつで辞めよう。とは考えていなくて、ずっと仕事はしていきたいと思っています。だから「老後に備える」という感覚より、「できるだけつづけられる方」に気持ちを向けています。

迷うのは答えが見つからないだけ。だから悩まない

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――クヨクヨしたり、迷ったりされることはありますか?

広瀬さん:考えますし、落ちこむこともありますが、悩まないようにしています。考えたり迷うのは答えが見つからないだけだと思って。答えがでないのが答えかもしれないし、いつか答えがでるかもしれない。それならそれまで待てばいい。それを迷い続けていればいい。それを悩みだと思うと、考えていることや迷いの多くが悩みに変わってしまうので、「悩み」というカテゴリーには入れないようにしています。

すべては捉え方や言葉の受け取り方だと思うんです。年齢に関しても、まだって思うか、もうって捉えるか。年齢は重なっていくので、60歳になっても70歳になっても同じように感じると思うんですよね。「もう」って言っている自分と「まだまだ」って言っている自分を楽しめばいいと思う。気は持ちよう。だけど体力は落ちていく(笑)。

ーー名言ですね。体力が落ちていくことは不安じゃないですか?

広瀬:変化に向き合うことって覚悟がいるようですが、私たちは今までもやってきたんですよ。だから50年以上生きてこられた。それに、体力が落ちていくのは、生命としては当然なので、受け止めつつ「さあ、どうする自分?」と、自分に聞いてみます。

新しいことに遭遇したり、初めてのことって、ドキドキしますよね。子供のころは初めのことばかりだから無意識に乗り越えてきたけど、歳を重ねると初めてが減ってくるから、つい身構えてしまう。でも後ろを振り返ってみたら、きっともっと大変なことも乗り越えてきているんじゃないでしょうか。体力が衰えていくぶん、経験値で補えることもある。そう思っています。

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