【広瀬裕子さんのかろやかな歳の重ね方vol.6】更年期は体を見直す合図。変わることは悪いことじゃない

55歳、大人のまんなか 空と海

人生100年時代と言われる今。エッセイストとして活躍しながら、50歳目前で設計事務所での建築・空間プロデュースという新しい仕事を始めた広瀬裕子さん。昨年発売された著書『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)では、「もう55歳」と「まだ55歳」を行き来する「55歳の今」を描き、同世代の女性を中心に共感を集めています。

自分の現在地を客観的に捉え、かろやかに年齢を重ねている広瀬さんへのインタビュー、第2回目です。

ーー『55歳、大人のまんなか』を拝読していると、いつもポジティブに、新しいことも軽やかに楽しまれている印象ですが、モチベーションがあがらない時のスイッチの入れ方のようなものはあるのでしょうか?

広瀬さん(以下広瀬):疲れて動けない時は、罪悪感を持たずグダグダしています(笑)。体もそうですが、メンタルも休ませないと次にいけないから、「今日は外に一歩も出ない」と決めて家で映画を見ながらポテトチップスとビールの日、もありますよ。無理がつづいていたら次の週は、スケジュールをゆるやかにしたり、ゆとりを持てるよう予定を立てています。

元々そんなに体力があるほうではないし、睡眠をきちんととらないと動けないんです。寝る時間を削るとパフォーマンスも落ちるのがわかっているので。私の場合はたくさん眠ったら大丈夫。あとは、ホスピタリティのすばらしい施設や場所に行き感銘を受けるのもスイッチがはいります。自分との付き合い方を知っておくということでしょうか。

――自分のキャパシティは分かっていても、他の人と比べて焦ったり落ち込んだりしてしまう時はどうしたらいいのでしょう?

広瀬:速いスピードで走っている人もいればゆっくり歩いている人もいます。でもそれは速度が違うだけ。速さは距離ではなく深度、深いところに向かっている人もいると思います。焦るときは、自分のできることは何か。そちらに気持ちを向けるようにします。

それにキラキラして見える人って、こちらが知らないだけでその背景ですごく努力しているっていうことが往々にしてある。そこまでできるか、やれるかと自問して、できないことも向いていないこともあるので、自分のできるペースでやればいいかな。

人生は人それぞれ。比べると苦しくなってしまうから、そういうときは少し休んで、捉え方を変えたり俯瞰してみたらいいと思います。立ち止まって振り返ってみたら、今まで結構がんばってきたと思えるんじゃないでしょうか。50年以上生きてきたってそれだけですごいことだから、今までの時間を味方にすればいいと思います。

優先順位をつけて、自分のフォームを見つけていく

55歳、大人のまんなか 空と海

――広瀬さんの視点は、とても客観的でフラットに感じるのですが、物事の捉え方は、年齢とともに変わってきたのでしょうか?

広瀬:視野が広くなっていくことが年齢を重ねることではないかなと思っています。昔は自分の目のとどく範囲、一方向からしか見えていなかったことが、年齢と経験を重ねたことで、もう少し上のほう、広い位置から見えはじめ、風通しよく感じるようになりました。

あとは本当に体力がなくなっていくと、力を抜くところを作らなくちゃいけない。人と比べてばかりもいられなくなる。自分のフォームを見つけないと、続かないんですよね。

特に女性は更年期があるので、今までとはやり方を変えないと続かないこともあると思います。それを受け止めて生活や仕事のやりかた、習慣を変えていくのは、必要だこと思います。

病気や調子が悪くなると色々自覚すると言いますが、更年期は病気にならなくても自分を見つめ直すきっかけだと思えばいい。体が「見直す合図」をくれたと考えればいい。過ぎてしまえば、その時は大変だったけれど、まあそういう時期だったのかな。と思います。

今の自分は何ができて何ができないか、何がしたいか。今までできていたことも全部はできなくなるので、取捨選択する必要が出てくる。その時に、きちんと優先順位をつけて選んでいけばいいと思うんです。

→インタビューは次回に続きます。

写真/加藤新作(『55歳、大人のまんなか』より抜粋)
聞き手/吾妻枝里子

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