吉川千明さんが全女性に伝たい更年期のこと/前編「『女性の最強のお守り・女性ホルモン』がゼロになってしまうんです」

吉川千明 更年期障害 インタビュー

辛ければ辛いほど、ひとりで抱え込んでしまいがちな更年期の不調。体と心が軽くなるヒントを、自らも早い時期から更年期症状に悩まされたという、『「閉経」のホントがわかる本』の著者でもある吉川千明さんにうかがいました。前編・後編でご紹介します。

◾️意外と知らない閉経と更年期の関係

ーー吉川さんは、婦人科医の対馬ルリ子先生と一緒に健康講座「女性ホルモン塾®」も開催されてますが、主要テーマでもある「更年期」、そもそも更年期と線引きされるのはいつからなのでしょうか。

吉川千明さん(以下、吉川):閉経をはさんだ前後5年、合計10年を更年期と定義しています。すべての女性に閉経はあり、更年期という期間があります。自分がいつ更年期に差しかかったかは、閉経してからわかるものなんですよね。

ーー更年期がなかったという方もいます。

吉川:よく「私には更年期がなかった」という方もいますね。それは自覚症状がなかったということで、更年期のない人はいません。更年期とは思春期と一緒で、誰でも通るライフステージの名称になります。

ーー更年期に差しかかると体はどう変化しますか?

吉川:閉経前後になると急激に女性ホルモンが減ってきます。ここが大きなポイントですね。卵巣内の原始卵胞も急激に減って、生まれたとき200万個程あった卵は、40代で6万個、50代で5000個と急激にゼロに向かって減っていきます。女性ホルモンの急激な変化に脳が追い付かず、自律神経や感情も不安定になり、体の内外にさまざまな変化が出てきます。

ーー閉経までにまだ時間のある若い人にも更年期のような不調が現れることもあるとお聞きしました。

吉川:若い時期に栄養状態が悪かったり、強いストレスが原因で、更年期みたいな症状が前倒しで出てくる人もいます。30代後半とか閉経にはまだ時間があるはずなのに心身の調子が悪い、そんな訴えのある方たちをプレ更年期と呼んでいます。

更年期障害 症状
更年期のさまざまな不調はすべて女性ホルモンが関係しています。

◾️閉経後は女性ホルモンの減少の仕方が滑り台みたいに急勾配

ーー吉川さん自身はどのような不調が続いたのでしょうか。

吉川:不正出血から始まって、首、肩がバリバリに凝って、疲れも取れない。トイレも近くなる。イライラしたりくよくよしたり、意味もなく感情が乱れたり。歩いているとふわふわした浮遊感があったり、とくに自律神経や情動面に強く症状が出て、心のキャパシティがすごく狭くなっていったんです。

40歳くらいからそんな不調がでるようになって、さまざまな病院にかかりました。そのうちに全身に起こっていることが女性ホルモンによるものだと気づくようになって、こんな大事な事を知らなかった。きっと他にも知らない人が多いのではないかという思いから、正しい知識を身につけてもらう「女性ホルモン塾」というセミナーもはじめたんです。

ーー女性ホルモンが急激に減ると他にどんな症状が現れますか・

吉川:ありとあらゆる症状が出てきます。のぼせや動悸など内科的な症状、イライラ、落ち込み、不眠などの精神的な症状、関節痛などの整形外科的症状、そして尿もれなどの泌尿の問題、肌や粘膜の渇きなど、多岐にわたります。

女性ホルモンは体を守っているお守りなんです。閉経前後、女性ホルモンの急激な減少によって守られなくなった体は、病気にもかかりやすくなります。目に見える症状から、見えない体の深部まで、閉経前は自律神経の乱れなど「揺れ」として現れますが、閉経も後半になると体全体の老化として現れてきます。

◾️女性ホルモンは最強の抗酸化物質

ーー女性ホルモンとはどういうものでしょうか。

吉川:肌がみずみずしい、関節が柔らかいなど女性をしなやかに守ってきたのも女性ホルモン。大きく分類すると、エストロゲンとプロエストロゲンがあり、前者は女性の一生に関わる欠かす事のできない主役級のホルモンです。

エストロゲンが減少してくると、シワしみたるみといった美容トラブル、口や鼻、デリケートゾーンの乾燥など、目に見えやすいものだけでなく、骨がもろくなる、免疫力の低下、血管の損傷など、目に見えないところにも病気として現れてきます。この隠れた部分が最も怖いんですよね。

◾️50歳を境に体のメンテンアンスを

ーー守ってくれるものがなくなることで病気のリスクも高くなるのですね。

吉川:60歳になったら女性ホルモンはほぼゼロです。女性ホルモンは免疫力にも影響していて、癌だって免疫力の低下からおこりますよね。そこを知っておいて欲しいのです。

50歳はひとつの境。更年期は車でいう車検。いろいろなおす時期なのです。ずいぶん乗ってきたから、ドックに入れてよく検査してあげることですね。ここでちゃんと、いろんなとこを直し直ししていけば、その後の40年も事故を起こしにくい。

車が良い例えです。安全運転して長持ちしていくために、1年に1度は病院の受診を。まずは婦人科のかかりつけ医を見つけることが理想です。自分のカラダについてよく知ること。更年期というのを嫌がらずに付き合うことが大事なんですよね。

ーー更年期ということばはなんとなくネガティブで、友人同士でも避けてきたという人もいます。

吉川:日本人ってなんとなくその手の話題は嫌がりますよね。更年期ということばが嫌い、女で無くなるようで。みなさん健康できれいでいるためにいろいろ手をかけているのに、その健康ときれいの源が、女性ホルモンが関わっていることに気づかず、ホットフラッシュだけが更年期と思っている人が多い。

昔の女性の平均寿命は50歳で、今は100歳まで生きている方もいらっしゃいますよね。この先50年は最強のお守りである抗酸化物質(女性ホルモン)なしで生きていかなきゃいけないわけです。その先をどう生きたいかがポイントになりますね。

更年期 「閉経」のホントがわかる本
吉川千明さんと産婦人科医・対馬ルリ子さんによる著者「閉経」のホントがわかる本 には更年期の正しく付き合うヒントがたくさん。

次回(後編)は「更年期の対策法」をご紹介します。

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