<村の結婚式> 1951年 (c) 2022, Grandma Moses Properties Co., NY
無名の農婦から80歳にして一躍人気作家となり、100歳まで描き続けたグランマ・モーゼス。自然や素朴な暮らしを愛した優しい眼差しの作風は、日本にも根強いファンが多く、今もたくさんの人々を魅了しています。その生涯に渡って制作された日本初来日を含む約130点を展示したグランマ・モーゼスの回顧展が開催中。その中から一部をご紹介します。
「グランマ・モーゼス」の愛称で親しまれるアメリカの国民的画家、アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスは、ニューヨーク州東部の生まれ。人生の大半を農家の主婦として仕事や家庭を切り盛りしてきましたが、70代で本格的に絵を描きはじめ、80歳のとき、ニューヨークで個展を開きました。
そのほとんどの作品は、ニューヨーク州とヴァーモント州にまたがる田園風景と、自身が暮らす土地の人たちの日常を描いたもの。
キルトや石鹸づくり、作物の収穫などで仲間たちが楽しく集う姿をはじめ、村のお祭りやお祝いなど、素朴ながらも幸せを感じる暮らしと身近な美しい自然の風景を生涯に渡って描き続けました。
生誕160年を機に企画された今回の展覧会は、国内の回顧展としては16年ぶり。初期の作品から、100歳で描いた絶筆のほか、アメリカ国外に出品したことがない貴重な作業テーブルや手作りの人形などの愛用品も公開され、グランマ・モーゼスのプライベートも垣間見ることができます。
展覧会の公式サポーターを努めるタレントの結城アンナさんからは、こんなメッセージも!
”グランマ・モーゼスの絵を見ると、突然穏やかな気持ちになります。まるでモーゼスおばあちゃんが、私に語りかけるように感じるのです。メッセージには優しさと安心感があります。『この世界は良いところです』『すべて大丈夫よ。あなたの周りのすべての美しいものを見て、今を楽しんでください』と。”
私たちの世界が道の領域にめまぐるしく移り変わる中、同じペースを保ってぶれずに生きることはとても難しいです。農家の仕事、家族、コミュニティを中心としてシンプルな暮らしや自然の無敵の美しさといった、今も変わらないノスタルジックなテーマのグランマ・モーゼス展ほど、時代に沿った展覧会はないでしょう。まして、このアーティストが女性であり、おばあちゃんであり、自分の持って生まれた運命を受け入れ、あきらめなかった人だと知ることで、さらに心が強く動かされ魅了されるのです”
現在、世田谷美術館にて開催中の展覧会は2022年2月27日まで。
モーゼスおばあちゃんが紡ぐ、美しい自然と幸せな日常の風景に癒されに足を運んでみてはいかがでしょう?
「グランマ・モーゼス展ー素敵な100年人生」
会期:開催中~2022年2月27日(日
会場:世田谷美術館
東京都世田谷区砧公園1-2
開館時間:10:00~18:00(入場は 17:30まで)
休館日:月曜日
※1月10日(月・祝)は開館、翌1月11日(火)は休館
入場料:一般1,600円
主催:世田谷美術館(公益財団法人せたがや文化財団)、東映、BS-TBS、朝日新聞社
後援:アメリカ大使館、世田谷区、世田谷区教育委員会、TBSラジオ
協力:ギャラリー・セント・エティエンヌ、ニューヨーク、日本航空
協賛:損保ジャパン、NISSHA
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)、03-3415-6011(世田谷美術館)
取材・文 矢沢美香 編集 河田実紀