まずはクロスのご準備を。食事の時間が待ち遠しくなる、フランスマダムのテーブルセッティング。

布から生まれるインスピレーションを大切にする、一人のフランス人女性がいます。こだわりのクロスに合わせてコーディネートされた器や花、オブジェを見せていただきました。
「テーブルセッティングでは、まずクロスを選び、それに合わせてカジュアル、シックなどとテーマを決めて器を並べていきます」
そう話すのは、コリーヌ・マルケッティさん。自宅は10 区でサンマルタン・ヴィレッジと呼ばれる、レピュブリック広場に近い人気地区。布を扱うコリーヌさんの店も歩いて5分ぐらいの距離です。
「好きなのはコンテンポラリーのモダンな食器、アンティーク、そして伝統的な食器。それらをすべてミックスして並べます。私らしさも表現したいので、ポルトガルで購入したハリネズミ や女性のオブジェの陶器など、食器以外のものも一緒にコーディネートを楽しんでいます」

さらにテーブルコーディネートに欠かせないのが花だと、コリーヌさんはいいます。「必ず飾りますね。生花のときもあれば、今日はクロスや器の色に合わせ、 最近パリで人気のドライフラワーを飾ってみました」
そして、雰囲気の異なる白い皿は、大切な家族の絆の証なのだそう。「亡くなった祖母から譲り受けたリモージュのアンティークなんです。ノスタルジックな思いもあり、大切に使っています」
ポルトガルの伝統的な陶器のハリネズミ。食事中の会話のきっかけにもなる、旅のお土産は気軽にテーブルに置いて。
「陶芸はまだまだ初心者ですが、私が最初に作った器はフラワーベースとして今でも現役で活躍しています」
色鮮やかな果物と相性がいい、日差しが降り注ぐ、南仏らしい色使いのヴァロリスの陶器。マドゥーラ窯が有名。
友人からプレゼントされた1950年代の器は、ピカソがアトリエを構えた南仏ヴァロリスのもの。
木と陶器という組み合わせがおもしろいと感じ、蚤の市で購入したエッグスタンド。ゆで卵がおしゃれな一品に早変わり。
シンプルな形ながら、木の蓋と竹の持ち手が温かみを添えている、アジアンなティーポ ット。
チュニジアで見つけた、独特の模様が描かれたお皿。「アートのように美しく、手頃な価格で買える器は貴重です」

コリーヌ・ マルケッティさん
Corinne Marchetti/「Pompon Bazar」オーナー。コンテンポラリーアートのエージェントとしてキャリアを始め、その後雑誌の写真ディレクターを経て最近店をオープン。 http://pomponbazar.com/gb/
『ku:nel』2018年11月号掲載
写真 Yas/コーディネート 石坂紀子/文 今井恵
