【作家・吉本由美さんの猫暮らし②】言葉は通じなくとも寄り添ってくれる、小さいけれど心強い味方たち。

吉本さん ねこ

自宅に一人でいる時、少し落ち込んだ時、言葉は通じなくとも近く寄り添ってくれる存在がいるだけでどれだけ心強いでしょうか。喜びや悲しみを察してくれる彼女たち。今回は愛猫たちとの日常を作家・吉本由美さんがお伝えします。

マミとミケコ。

スライ&ザ・ファミリー・ストーンみたいだ」と友が評したマミ一家の家族写真。

同じ色の毛布の上で寝転ぶマミと、その下はゴロゴロしているクモスケ。

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▼前回の記事
【作家・吉本由美さんの猫暮らし①】愛猫たちと過ごす、忙しくも温かな充実した日々。

思えば長い一人暮らしに不可欠だった猫の存在。

 さらに掃除や洗濯でもやればひと息つけるのは10時過ぎだ。起きてから朝の始まりのお茶を一杯飲むまでに、3時間。早くもへとへとになっている。すると私の人生、こんなでいいんだろうか、と、よく考える。好きでやっているわけではないのだが、今の自分はどう見たって猫おばさん。もっとクールに、もっとカッコよく生きるはずではなかったか。どこから道を間違えたのか、と。子供の頃から家には猫が居て、好き嫌い言う前に居るのが普通で、猫は空気のような存在だった。親元を離れ東京で暮らし始めても、アパート住まいの最初の2年間以外何かしら居た。もういい加減離れてみてもいいんじゃない、と東京を脱出したときもコミケを連れ帰った。私62歳、コミケ9歳。互いに残された時間の輪郭がぼんやり見えてきていた。そのときはコミケを最後の猫にするつもりでいた。私は新しい場所(実家だが)で新しい人生(猫のいないクールで優雅な)をやってみたいと考えていたのだ。

庭は仔猫たちの遊園地。

シマフクロウそっくりの木に登ったクロロ。

みなでバッタリ。

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 話は戻る。その前の、まだ親が施設に入って存命だった頃、遠距離介護で東京から帰り、もう誰も住む人のいなくなった家に一人過ごしていると、決して大きな家ではないのに、自分が育った家なのに、しばらくいなかったせいか心細く不安になった。夜は真っ暗な2階が怖くて朝まで明かりを点けっぱなしにしていた。そこにコミケを連れ帰ったのだが、部屋のあちこちに彼女がいると思うと、それだけでへっちゃらになった。もちろん強盗をやる人には猫などへのかっぱだろうけど、自分のほかに誰かがいるという気配が安心感を生んでいた。あ、私って〝一人暮らしの達人〟とかなんとか妙に自負してきたけれど、もしかしたらそれはすべて一緒に暮らした猫たちのおかげだったのかもしれないな、とそのとき腑に落ちた。それまでは一方的に面倒を見てきたと思っていた猫たちに、実は助けられていたんだな、と。

『ku:nel』2020年9月号掲載

写真・文 吉本由美 / 編集 友永文博

 

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