【「エプロン商会」のお店。後編】店主が着たいと思うデザイン。エプロンと服のコーディネートを楽しむ。

好みの布で、自らが着たいと思えるデザインのエプロンを製作する滝本さん。そして、誰かと一緒にエプロンを作る楽しさを知った市川さん。ふたりの関係性と、バランスよく「楽しみ半分」で営む「西麻布R」のエプロンコーディネートをご紹介。気になるものがあれば、実際にお店に足を運び、エプロンを身につけて選んでみてはいかがでしょうか。

ディレクターとしてファッション業界にもかかわった経験がある滝本さんにとっても、エプロン作りは面白いテーマでした。「生地を大量に仕入れて、シーズンごとに新作を発表して採算をとる、というファッションビジネスとは全然違うやり方。布が大好きだし、エプロンなら自分の好みの布で自由に作れるんじゃないかって思ったの。

「見て触っているだけでうっとり」 (滝本さん)というリバティの布見本。

エプロンと服のコーディネートを考えるのはすごく楽しい」と滝本さん。一方で、大先輩でおしゃれ上手な滝本さんと一緒に仕事ができるなんて、夢にも思っていなかった市村さん。「花の仕事は、基本ひとりでしていたので、誰かと一緒にエプロンを作るという発想がもともとなかったんです。でもやってみたらひとつのことを、わいわい言いながら考えたり、一緒に作ったりすることが新鮮で楽しい」。それぞれが「西麻布R」の運営やフラワーデザインという本業を持っている。それが「楽しみ半分」で続けていられる理由かも、とふたりは言いま す。それでも、73歳と53歳という年の差、長いこと一緒に仕事をしていると、ぶつかることはないのでしょうか。

つぎを当て、ひもも交換した昔のエプロン。こんな風合いをお手本に。

「それが全然。玲子さんの人柄もあると思うんですけれど、言いたいことは遠慮せずにちゃんと言えるし、喧嘩もしないです」。(市村さん) 「いやいや何かをやるとか、上から言われたからやるとか、そういうことしたことがないの。年齢を考えると勇気があるね、なんて言われることもあるけれど、好きなことならなんでもできる。やらないと見えないことも、たくさんあると思います」。(滝本さん)

これからの出番を待つヴィンテージの布のストックがどっさりと。

決まったショップを持たず、長野や福岡など、各地のギャラリーやセレクトショップに商品を持って行って展示、 販売をしてきた「エプロン商会」。各地にファンを増やしてきたけれど、好きなときに買い物をしたい、お店があったら買いに行きたい、という声が多く、それに応えたのがこのお店。ふたりが福岡のアンティーク家具の店で選んだチェストに各種のエプロンがたっぷり。ここなら、実際に身に着けて選んでもらえます。「好きなエプロンを着けると気分が上がって、やる気も出ます。いろいろ試して、自分らしいものを探してみてください」。(市村さん)

微妙に落としたウエスト位置がかわいい。「料理家さんとかパティシエとか、料理上手はエプロンを着こなすのも上手」(滝本さん)

市村さんがどうしても作りたかった割烹着スタイル。暖かいし、袖口のゴムが水仕事のときの袖周りの煩わしさから解放してくれる。

後ろボタンの割烹着は前後ろを逆に着ることも可能。このまま近所の買い物に出かけても違和感がないおしゃれな表情。

たっぷりとギャザーを寄せて、ペイザンヌの雰囲気が漂う1枚。張りのある厚地のヴィンテージコットンを使ったもの。

「リバティのかわいい花柄はむしろ、玲子さんみたいなパンチのある大人の女に着てもらいたいって思うんです」(市村さん)

こちらはヴィンテージのリネンを使った。たっぷりとしたサイズ感で、身長を問わず、男性が着てもかっこいい。

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『ku:nel』2020年11月号連載

写真 目黒智子/取材・文 船山直子

● そのほか、市村美佳子さん の記事
都会のグリーンオアシス。フラワーアーティストのベランダ拝見。

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