そう広くないベランダにハーブやシダを並べ、緑と暮らすフラワーアーティストの市村美佳子さん。乾いたなと思ったら水をやり、弱ったなと感じたら葉を刈って。一つ一つの植物と対峙することが大事だと話します
築50年超えのヴィンテージマンションのベランダでは、ひょろりと伸びたレモンユーカリの木が、気持ちよさそうに揺れていました。そのほかホワイトセージやローズマリーなど、よい香りのハーブが並びます。これは、クリスマスのリースやスワッグをつくるとき用に自家栽培しているもの。さぞかし丹精込めて、と思いきや、もっと気軽なようで……。
「定期的に水をあげていると、植物もそれに慣れてきてしまう。天候や植物の状態でも状況は変わってくるし、土や葉っぱの様子をよく観察して、いよいよ乾いてきたかな?と思うくらいのタイミングで水をやり、割とスパルタに育てているかもしれません」
緑との暮らしは必然。「素敵な暮らしに憧れてとかでは全然なくて、生き物と暮らすことでエネルギーをもらっています」。すこやかに暮らしていくために、市村さんにとっては欠かせないもの、それがグリーンであり、切り花なのだそう。
いちむらみかこ
「緑の居場所デザイン」主宰。フラワーアーティストとして、店舗ディスプレイやレッスンも行う。ビンテージの布などを使ったエプロンブランド「エプロン商会」運営も。
http://www.midorinoibasho.jp/
写真 砂原 文/取材・文 鈴木麻子
『ku:nel』2020年3月号掲載