モダンな漆器。香川の伝統工芸が日々の食卓に彩を添える器へ。

香川 漆

漆のプレートやカップなどを製作する漆芸工房『さぬきうるし Sinra』を訪ねました。江戸時代から受け継がれる香川県独自の伝統技法をアップデートし、今の暮らしに寄り添うアイテムを発信しています。

香川県は漆芸において、じつは重要な地、なんだそうです。その歴史は江戸時代にさかのぼります。高松藩を治めていた松平家は芸術と文化に理解が深く、漆芸にも力を入れ、蒟醤(きんま)・在清(ぞんせい)・彫漆(ちょうしつ)・後藤塗(ごとうぬり)・象谷塗(ぞうこくぬり)という独自の5技法が発展。1976年には伝統的工芸品に指定されました。また、現在に至るまで多数の重要無形文化財(人間国宝)も輩出しています。

長い時を刻む香川漆器の世界で、2014年に6人の若手作家が『さぬきうるし Sinra』を立ち上げました。「日常の道具として、もっと漆器に親しんでほしくて。漆の魅力を知ってもらうと、職人を志す若い世代も増えると思いました。『さぬきうるし Sinra』は、5技法を伝承していくための新しい形でもあるんです」と語ってくれたのは、主宰の松本光太さん。

香川 漆器
伝統技法の象谷塗(ぞうこくぬり)を『さぬきうるし Sinra』流にアレンジ。県産庵治石粉と漆で凹凸をつけ、真菰(まこも)と呼ばれる植物の粉を蒔いて仕上げます。この技法を用いてのこのデザインは松本さん独自のものだそう。使い込むほどつややかに。Zoukoku ぐい呑 柔 11,000円

香川県高松市出身の松本光太さんは、蒟醤(きんま)(表面に彫りを施し、色漆を塗りこめる技)で、重要無形文化財に認定されている磯井正美さんに師事。独立後は蒟醤(きんま)の分野にとどまらず、新しい技法を生み出しています。その一つが『さぬきうるし Sinra』で発表する石粉塗です。花崗岩のダイアモンドとの異名を持つ庵治石の粉と漆を混ぜて色付け。上品なツヤに思わず見とれてしまいます。「庵治石を混ぜることで、金属カトラリーを使っても傷は目立たず、指紋もつきづらくなりました。それでいて、漆器らしいなめらかな肌触りと軽さは健在。使うことで変わっていく色合いこそが、アジになります。ぜひ、長い時間を共にして、漆と庵治石が生む豊かな表情も楽しんでください」(松本さん)

一番人気はこちら。白ごはんからサラダなど幅広く活躍する。味噌汁など熱のあるものを入れても大丈夫。Ishiko 石粉塗り フリーカップ 紺、緑各8,800円(全8色 他に黒、灰、白、黄、紫、朱がある)

モダンなカラーリングは数量限定。庵治石の表情を引き立てるため、ざらりとした触感で仕上げた。Ishiko 石粉塗り 小皿 φ150×H25mm ピンク、ベージュ各5,500円。

木目の美しさも垣間見られるワッパ17,600円。

取り分け用のお皿として重宝する。Ishiko 石粉塗り 小皿 φ150×H30mm 各6,600円(全8色、朱、灰、黒、緑、白、紺、黄、紫)、椅子30,800円。

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最後に、気になるお手入れ法をたずねました。「陶磁器と同じ中性洗剤で問題ありませんよ。ただ、スポンジを折って器を挟む洗い方は、色の落ち方がまだらになるので避けてください」(松本さん)。想像よりも簡単! 漆との距離がぐっと縮まりそうな予感です。

文/松岡真子 撮影/福田喜一 編集/神保亜紀子

※表示されている価格はすべて税込みです。

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