待望の単行本発売!『しあわせは食べて寝て待て』。水凪トリさんインタビュー。【後編】「”ステイホーム”が私の日常です」

しあわせは食べて寝て待て

秋田書店『フォアミセス』(毎月3日発売)で連載中の漫画『しあわせは食べて寝て待て』。<クウネル・サロン>でもご紹介してきましたが、毎回「少しずつ元気になる主人公に自分も元気をもらえます」「登場する暮らしの知恵がとても参考になる」との声がたくさん届いています。ファンがたくさんの『しあわせは食べて寝て待て』ですが、4月16日にいよいよ単行本が発売になりました!その発行を記念して、作者・水凪トリさんにインタビュー。前編、後編でお届けします。

『しあわせは食べて寝て待て』2話から。引っ越し先候補として、再び団地を訪れた主人公のさとこが、隣のおばあさん鈴さんからスープをおすそわけしてもらい、自宅で食べるシーン。

38歳、独身。体の不調を抱え、バリバリ働くこともできず、人生の停滞を感じているさとこさん。もやもやと心身に膜がかかったような日々を過ごしていますが、築45年、家賃5万円の団地へ引っ越すことで、食を、暮らしをすこやかに立て直していくお話です。そのきっかけを与えてくれるのが、隣人で大家の鈴さん(92歳)と息子(?)の司さん。薬膳の知識に長けたふたりから、体を整える食の知識をシェアしてもらいつつ、穏やかな交流を続けることで、さとこんは不調と折り合いをつけ、気持ちも上向いていくのでは……というのが現在までのお話です。

しあわせは食べて寝て待て

前回のインタビューでは、著者本人も膠原病を患ったことをきっかけに、薬膳に興味をもったという話を伺い、主人公のさとこさんと水凪さんの暮らしがリンクしているということを知りました。

――漫画のキャッチコピーに『衣食住を慈しむ』とありますが、具体的にどんなことなのでしょうか?

水凪トリさん(以下、水):そうですね~。たとえば、最近の漫画で、これかな?と思った内容がありまして……。さとこさんが朝起きてから、こういう順序で生活をするという、朝のルーティーンをご紹介したんです。朝起きて、体を拭いて、温かいものをたべて、その後はすぐに動いてしまう。休むのではなく、掃除をしたり洗濯をしたりとパッと動くと、体のめぐりが良くなる気がするという描写です。体を拭くのは、実際に私が冬に行っていたことで。

もとは、毎朝シャワーを浴びていたんです。でも冬場、体の調子が悪くなるとシャワー後に体が冷えて、それが原因なのか風邪をひいてしまうようになって……。それで、その替わりに、お湯でしぼったタオルで身体を拭くようにしました。そうしたら、乾布摩擦の効果があったようで、風邪をひかないどころか、寒さに強くなってしまったんですよ。こういう暮らしの中で工夫をして、自分に合ったことを発見し、暮らしが良くなっていくっていうことは、「慈しみ」なのかなって。

――積み重ねでの発見、実体験での気づきがあるというのは、生活を慈しんでいるという感じがしますね。

水:まあ、本当に小さいことですけども。自分にとっては大変な発見だわって。

――秋田書店のWEBコミックサイト『スーフル』では、番外編<休日はおウチぐらし>を連載され、繕い、金継ぎ、豆腐の味噌漬けなど、家仕事についてもご紹介されていますね。それも実体験なんですか?

水: はい、すべて自分がやっていることです。

――Instagramにアップしているお料理がいつもおいしそうだな~と拝見しているのですが、それもご自身でつくっているのですか?

水: 自分でつくった料理もあれば、同じマンションに暮らす母作のときもあります。

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――さとこさんの食卓につながっていますよね。旬の食材をたっぷりとって、体の中からきれいになれるような献立で、とても参考になります。「丁寧な暮らし」だな~と思います。

水: 丁寧にというほどでもないですけれど、体調のこともありあまり出かけられないので、自ずと家でできることを深めていっているというか……。

――みなさんがコロナ禍ではじめられた「おうち時間の充実化」をずっと実践していらしたということですね。

水: それはあります。いま、みなさんは外に出るときはマスクをして人ごみに出ないとか、不自由に感じていることもあると思うのですが、私はもともとそうなので、コロナ禍でも、普段と変わらないんです。

――さとこさんの暮らしを見ていて、家でできることの広がりを感じます。

水: 読者のみなさんからもそういう声をいただきます。同じように不調で悩んでいる読者の方も多くて、そういう方々が見ていてくださると思うと気が引き締まる思いです。

――みんな見守っている感じですよね。さとこさん、1、2話目は結構元気が無かったので、どうなっていくんだろう?ってすごく心配だったんですが、少しずつすこやかになっていく様子が本当にうれしくて。

水: 親戚のお姉さんのような目線で見守ってくださっている読者の方が多いみたいです(笑)。

――いよいよ単行本が発売となりましたが、どんなお気持ちですか?

水: 単純にとてもうれしいです!

――さとこさんと一緒に『しあわせは食べて寝て待て』という気持ちになり、食や暮らし全般に向き合おうと思えます!

水: はい!暮らしのなかで小さなチャレンジを積み重ねて、体調もお金のこととかもゆるやかに上向いていけばいいなと思います。失敗することもあるだろけれど、生きていくんだったら挑戦や成長を続けていきたいですよね。

――食生活の工夫、前向きに生きる心構えなど、気づきがたくさんの『しあわせは食べて寝て待て』。ぜひ単行本をお手に取っていただきたいです。

しあわせは食べて寝て待て

絶賛発売中!

『しあわせは食べて寝て待て』第1巻(秋田書店)

しあわせは食べて寝て待て
第1話~9話まで収録。すこしずつすこやかになっていくさとこさんの暮らしは、見習うところがいっぱい! 168ページ、748円 

●現在、クウネル・サロンで公開中の『しあわせは食べて寝て待て』
第1話 「私の痛み」
第2話 「風邪ひきを癒すスープ」
第7話「スタミナつけて夏」

取材・文/鈴木麻子

(C)水凪トリ(秋田書店)2021