いまだ夜間外出などの制限がかかっているフランス。パリ在住の松永加奈さんも基本、ステイホームの生活を送るなか、徒歩圏内でまわれるパリの名所を訪ねてみようと思い立ち、あちこちを巡っているそうです。いつもは観光客でごった返し、ゆっくり見ることもできないスポットもいまは堪能できるようです。そんな美しいパリの風景をシェアしていただきました。
昨年から引き続き、フランスでは文化施設が閉鎖中、レストランのイートインもできず、夜間外出も禁止(1月中旬現在)。ということで、この数か月は地域密着で生活しています。パリにも海外からのツーリストはいないし、気軽に国内外を移動できないのはみんな同じこと。だったら、いつも通りすぎている身近な観光名所を改めて訪れてみよう!と、年明けから歩いて回っています。
2021年の元日は、モンマルトルの丘に建つサクレクール寺院へ。自宅から歩いて片道1時間ほど、しかも最後はずうっと上り坂か階段で、ときどき心がぽきっと折れそうになりながら辿り着くと、そこには遠くまで広がる美しい景色と…予想以上にたくさんの人が!夏にはガラガラだったモンマルトルですが、今は数少ない開放された場所なので(寺院の中には入ることができます)、地元の人たちで賑わっていました。
続いては、1800年代初めにナポレオンの命令を受け、30年かけて造られたエトワール凱旋門。建物の中には入れませんが、門の下まではOK。初めてパリを訪れるとその大きさにみんな驚きます(私もそうでした)。かつて英雄と呼ばれたナポレオンは、ヴァンドーム広場の円柱のてっぺんに立っています。高級ジュエリー店が広場をぐるりと囲み、その中には、かのココ・シャネルがスイートルームで暮らしていたホテル・リッツも(リッツの裏口の前にシャネル本店があり、シャネルはそこを通っていたそう)。
歴史に思いを馳せる…となればルーブル美術館。現在は閉鎖中ですが、こちらは元々宮殿だったので、敷地を歩くだけでも外壁の装飾や彫刻など見応えたっぷり。そして広大な建物の中には、現在も住居として使われているスペースがあるそう!「どこに住んでいるの?」と訊かれて「ルーブルだよ」なんて答えてみたいものです。同じく閉鎖中のオペラ・ガルニエにも、知る人ぞ知る一角が。それは、屋上にひっそりと置かれた養蜂箱。オペラ座ではハチミツが採れるのです。豪華なシャガールの天井画のさらに上に、パリ中の花を飛び回ったミツバチが集まっているなんて、ちょっと夢がありますよね。
パリのアイコンともいうべきエッフェル塔にもご挨拶を。いつどこから見ても、圧倒的な存在感を放つ、別名「鉄の貴婦人」。最寄り駅から住宅街を通って向かうと、一瞬隠れて見えなくなるので「エッフェル塔はどこ?」「どの道を行けばいいの?」と訊ねられたことも。訪れる人が少ない今、貴婦人にはところどころに網がかけられ、修復作業が行われています。そのうち、またたくさんの人がやって来る頃には、いつものパーフェクトスタイルを見せてくれるはず。その日が待ち遠しいです。