装う楽しみを暮らしのエネルギーに変えてきた〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの寺本美樹さん。ある服をただ着るのではなく、自分の好みや体型にフィットするようにアレンジして着るのが寺本さん流ファッション。いまの気分にピタリとはまる着方を探しながら、服を大事に着続けます。
長らく、アパレル業界に身を置き、ファッションと共に生きてきた寺本美樹さん。自他ともに認めるファッショニスタです。ただ、流行りのものを追いかけるのではなく、本当に着に入ったものを大切に着続け、自分のスタイルを熟成してきました。
見せてくれた「マイヴィンテージ」は、奇しくも1993年の「コム デ ギャルソン」のものが3点。「この年のデザインが好みだったんです。子育て期には、こういうデザイン性の強いアイテムは少しお休みしていたので、そこまで回数を着ていなくて状態も良好。子育てを卒業したいま、あらためて袖を通すようになり、私らしい着こなしを楽しんでいます」
30年近く前のものとは思えない古びない佇まい。これは、普遍的なデザインの力と、寺本さん流の着こなしの工夫ゆえ。いまの気分に寄り添うよう、合わせるアイテムをベーシックなデザインのものにしたり、着方を工夫したりしてベストを狙っています。
「ひとつのものを買うと、ああでもないこうでもないと試行錯誤しながら、着方をいろいろ考えます。たとえば、シャツだったら後ろ前に着たり、襟を 変形させたり。Tシャツもデザインは好きなのに、首の開きが自分には合わないなどありますよね? そこであきらめるのではなく、自分にフィットする着方を工夫すればいいやって」
その感覚は料理に近いと寺本さん。店頭に並んでいる服は完成形ではなくひとつの素材。買ってからが大事です。味付け、調理し、自分好みにカスタマイズしています。
「体型のコンプレックスもきっかけのひとつ。首周りが気になるので、それをカバーするには?と、ピンでつまんだり、ブローチで留めたりしています」
誰しも、完璧なアイテムに出合えることは稀。少しの違和感は工夫で補い、ファッションの可能性を広げていく「寺本流」、真似してみませんか?
寺本美樹/てらもとみき
アパレルメーカーの運営を経て、現在は起業準備中。大好きなショップで働きながら、次のステージに向けて模索中。旅行が大好きで、海外に行くたびにたくさんの刺激を受ける。金髪と真っ赤なルージュがトレードマーク。
『ku:nel』2020年9月号掲載
写真 柳原久子 / 取材・文 鈴木麻子