買い物に都合がいいだけの場所ではなく頻繁でなくても訪ねると、充実した時間や生活が作れる特別な存在。安野さんの「贔屓」とは?
ストーリーを持つ古い物への慈しみ満ちる店が大好き
古い服や家具が好きなのはずっとと言う安野さんが贔屓にするのは、2軒のヴィンテージショップです。
「古い物には時代を経た時間のマジックも加わるから、魅力的。中でも単なる目利きじゃなくて、センスもとびきりな人たちに大切にされ、再び息を吹き込まれた物に出合うことが好きです」
個人的にも仕事でも30年来通っているのが、山口郁子さんがとりしきる『TORO』。
「山口さんの古着愛は服のチョイスに加え、ディテールを着やすくするリメイクアレンジの塩梅にも感じます。彼女自身も素敵で大好き。どう着たら楽しいかや服が辿っただろう運命?を話しつつ服を選ぶのは貴重な時間。来たら必ず長居してしまいます」
一方、自宅と自ら営む『CASUCA』 ショップには、『DOUGUYA』で見つけた家具や什器がたくさん。
「古い家具や道具を独自のテイストで選び丁寧に再生して、一個一個送り出 している感じ。さりげないけど、センスがよく強い気概と個性を感じます」
■店主の感覚と古着への愛に感化され 古着好きがまた盛り上がる
『TORO』
1993年に開店し神宮前に移って6年め。おしゃれ感度の高いファンが多いヴィンテージクローズショップ。大人にこそ合うポップな色柄の服が豊富。山口さん夫妻と友人達によるこだわりの内装も温かくアーティスティック。
TALK with 店主・山口郁子さん
安野さん(以下、安野):今日は以前買わせてもらったガウンを羽織ってます。舞台衣装として購入したたくさんの服も、全部とってあるんですよ。
山口さん(以下、山口):ガウン覚えてます、素敵に着て頂いて!舞台で使われた服もみな覚えています。安野さんにこういうのない?って言われて見つけられると嬉しいし、大切にされてるのは感動です。いろいろ教えて頂いています。
安野:ここの服は山口さんに大切にされているのがわかります。色の感覚も共感、ハイセンスでちょっと面白いのも好き!以前買ったオウムの飾りなんて他では絶対に見つからない。
山口:オウム、元々はたぶん帽子飾りですね。ところで安野さんの髪色、いい感じですね。
安野:いろんな色が着たくなるの。ここには着 たい色の服がいっぱい。今どこの服が多いの?
山口:アメリカです。40年代のダクロンや70年代のアクリル等、その時代に特徴的な素材の美しい発色を新鮮に感じています。手に取られた服の黄色や緑も今可愛いと思います。
安野:慈しまれた古い物は特別。シャツとパンツ、シルクベストは私が今日から愛を注ぎます。
TORO
住:東京都渋谷区神宮前1-2-10
電:03-6447-4147
営:12:00〜20:00
休:水曜
https://www.instagram.com/torovintageclothing/
■古い家具を大切に再生しさりげなくモダンに
『DOUGUYA』
主に日本の古い家具、道具をアップサイクルし販売。置くだけで物語を語りだすアートのような置物や、独特の趣があり、かつ現代の家に溶け込むシンプルな家具を小林倫己店長が厳選している。店舗に続く工房も拝見可能。
DOUGUYA
住:東京都渋谷区富ヶ谷2-19-8 松濤マンション1F
電:03-5875-8865
営:11:00-20:00(無休)
https://www.demodedouguya.com
『クウネル』2022年7月号掲載
写真/玉井俊行、山崎智世、取材・文/原 千香子