自らの作品を生み出すクリエイティブな仕事をしている人。そんな人たちの家に興味津々です。 個性的なインテリアや暮らしの中でのこだわり、センスを感じさせるあしらいなど、 アーティストならではのオリジナリティあふれるご自宅を拝見しました。
中里花子/なかざとはなこ
陶芸家
佐賀県唐津市出身。16歳で単身渡米。大学卒業後、父・中里隆氏に師事。2007年に工房「monohanako」、2010年には米メイン州に「mono hanako West」を設立。
仕切りはつくらず、 空間をオープンに使う
「自然が感じられる家で暮らしたかった」と言う陶芸家・中里花子さん。唐津市内から車で10分ほど。豊 かな緑が広がる山あいの地に、自宅と工房を構えて15年になります。
「当時はアメリカに住んでいたのです が、セミリタイアした両親が病気をしたことで、近くにいたほうが安心できると思ったのがひとつ。それに、日本で活動するための制作の拠点として自分の工房を持ちたかった。いくつかの理由が重なって、両親の家がある敷地に家を建てることに決めました」
限られた予算で花子さんが優先したのは、まず工房でした。工房に広いスペースをとるために自宅は別棟に。広さも約60平米と工房の半分ほど。
「もともとロフト的な暮らしに憧れが あって。小さい家なので仕切りはつくらずオープンスペースにして、実際に生活してからあれこれ変えていけるような家がいいなと思いました」
暮らし始めて1年後、早速、変化が。
「コンパクトでいいけれど、私もパートナーのプレイリーも家で仕事をしているので逃げ場がない。というわけで、 デッキをつくることに。大工仕事が得意なプレイリーのお父さんがデッキづくりを買って出てくれました」
家の半分近いスペースを誇る広々としたデッキで、天気がいい日は食事をしたり、ある夏など、あまりに暑いのでエアマットを敷いて夜寝たことも。
そんな「アウトドア的山小屋ライフ」も気に入っているそう。
『クウネル』5月号掲載
写真/Prairie Stuart-Wolf、取材・文/河合映江