【林 真理子さんが解く成熟できる女性とは?vol.3】「人生の後半は、人から必要とされる存在でありたい」

林真理子 プロフィール写真

年が改まり、「こんな一年にしたい」と思い描いている方も多いと思います。それとともに、「こんなふうに年を重ねたい」というイメージもしてみましょう。年齢を重ねて成熟する人と、老けていく人の差はどこに?「加齢を進化に変えた」達人、作家の林 真理子さんに伺いました。シリーズ最終回です。

「全力で人を喜ばせる生き方」

人を笑わせ、喜ばせるための時間と労力を惜しまない。

「人生の後半は、人から必要とされる存在でありたい、と思うようになりますよね。一方で私は、自分は必要とされていると勘違いしていないか、という恐れも抱いています。それは、年長のおじさまたちが、求められてもいない集まりにきて、文句を言ったり、自慢話だけして帰ったりする姿を見ていたから。そこで考えたのです。人から必要とされるではなく、人を幸せにしたい、喜ばせたい、と能動的になればいい、と」

林さんの周りにはいつも人が集まり、笑いが絶えません。それは気遣いと努力によって成り立つもの。

林真理子 プロフィール写真

「人が喜んでくれるのが何よりうれしい」とこの笑顔。撮影中もおもしろい話でスタッフを何度も笑わせてくれた。

「日大では、どうすれば職員や学生に楽しんでもらえるかと真剣に考えています。イベントでは、衣装とメイクまで緻密に真似て話題の人に扮し、また別の日には、学生を笑顔にする活動の一環で、『I’m donut?』の生ドーナツ300個を手配し、どうやって分けるか、学生自身にアイデアを出してもらいました。プライベートで知り合い同士のお見合いを仕切るときは、食事会の会計も負担します。おせっかいをする時にお金で思いとどまりたくないんです。以前どなたかに、〝50歳を過ぎたら、仕事の3割はお金をもらえないことをやりなさい〟と言われました。人を幸せにするために時間や労力を惜しまない。これも成熟への一歩なのではと思います」

仮装をした林真理子

日大では、全力で学生を楽しませる。ハロウィンのイベントでは槍投げの北口榛花さんのコスプレを。「すでに次の計画も考えています」

「楽しそうなことは何でもやってみる」

遊びや趣味も本気で挑めば中身を豊かにする経験に。

驚くほどフットワークが軽い林さん。国内外を飛び回り、あらゆることにチャレンジしています。

「昔から好奇心が強くて。できる、できないは関係なく、楽しそうなことは、何でもやってみたいんです。椿姫でカルメンを演じたのは今から35年前。オペラや日舞、被災地支援のボランティアとして銀座の有名クラブで1日ママを1ヶ月務めたこともあります。ただし、遊びや趣味であろうと中途半端にはしない、がマイルール。本気で取り組むからこそ、その経験が糧になり人としても面白くなる。やりたいことをやるために仕事も頑張ろう、というモチベーションにもなりますよね」

ただ待つのではなく、積極的に貪欲に、楽しいことを見つけに行く。

「大好きな瀬戸内寂聴先生は、90歳を過ぎても、いろいろなことを面白がって生きている人でした。〝いつも楽しそう〟な人は、周りまで幸せにすることができるのです」

漫画家の池田理代子さんに誘われて日舞を習い、国立劇場で行われた発表会では、映画『国宝』でも話題の「藤娘」を踊ったこともある。

林真理子自画像

「家ではリカバリーウェアでテレビを見ながらダラダラしちゃう」

「成熟した美しさとは」

達観しながら芯に熱さを持ちエネルギーが枯渇しない人。

「樹木希林さんが引用して有名になった、〝時がきたら、誇りを持ってわきへどけ〟という詩人の言葉が、とても好きなんです。邪魔だ、老害だ、と言われる前に、自分の意思ですっと引く。相談には乗るし頼られるのは嬉しいけれど、若い人に好かれている、なんて誤解はしません。年下の友人たちと食事をして二次会に誘われても〝ありがとう。今日は遠慮するね〟と帰ります。でも、しょんぼりではなく、誇り高く、ね」

林さんがそう思えるのは、たくさんの素敵な先輩を見てきたから。

「達観してちょっとしたことには動じない。でも内側にはアグレッシブな熱いものを持っているのが理想とする成熟の姿です。たとえば作家の桐野夏生さん、小池真理子さん。おふたりとも私より年上ですが、相変わらず美しくて今も執筆していらっしゃる。年齢を重ねても、知識と教養、そして枯れないエネルギーがあれば、ずっと輝き続けることは可能だと教えてくれます」

林真理子 桐野夏生・イラスト

桐野夏生さん
女性初、日本ペンクラブ会長を務める、きりっとかっこいい先輩。

林真理子 小池真理子・イラスト

小池真理子さん
仲良くさせていただいている先輩。丁寧な暮らしぶりまで美しい。

PROFILE

林 真理子/はやし・まりこ

作家。82年、エッセー集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。日本文藝家協会理事長、日本大学理事長も務める。Ginza Sony Parkで10月10日から開催する「マガジンハウス博」で、最新刊『わかりますぅ? 美女入門23』(10月10日発売)刊行記念の「マリコ・サロン」がオープン。トークイベントでリアルな林さんに会うチャンス!詳細・お申し込みは「マガジンハウス博」特設サイトまで。

写真/天日恵美子、ヘア&メイク/山本浩未(steam)、イラスト/林 真理子、文/片岡えり、編集/今井 恵

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