林 真理子さんが解く成熟できる女性とは?/後編「50代はそろそろ仕上げにかかりたいタイミングで成熟できるかの分岐点」

林真理子 プロフィール写真

年が改まり、「こんな一年にしたい」と思い描いている方も多いと思います。それとともに、「こんなふうに年を重ねたい」というイメージもしてみましょう。年齢を重ねて成熟する人と、老けていく人の差はどこに?「加齢を進化に変えた」達人、作家の林 真理子さんに伺いました。

前編「知りたい学びたいという好奇心や知識欲があれば何歳でも成長できる」からの続きです。

仕上げにかかりたい50代は成熟できるかの分岐点。

持ち前の俯瞰力でダメな自分を客観視しながら成長を続け、進化した林さん。今では友人はもちろん、企業や団体からも頼られるほどに。

「自虐ではなく、昔の私は本当に誰からも必要とされない存在でした。それが今では毎日スケジュールが埋まり、来てくれなきゃ困る、と言われることも。自慢に聞こえるかもしれないけれど、トップに選ばれることが増えたのは、少しは人の心がわかるようになったからかな、と。大人になってからの人生のほうがずっと長いので、気づいたときから変わればいいんです。50代はまだ現役ですが、そろそろ仕上げにかかりたいタイミング。もっと素敵になるか、つまらない人間のまま終わるかの分岐点といえるかもしれません」

林さんは確かに人間力に富み話術も巧み。でもそれ以上に、人から信頼され、愛される理由があります。

「人には求めませんが、私は人間関係のマナーを強く意識するタイプなんです。早く着きすぎて他の人が困るほど時間を守る。TPOにあった服装を意識する。ご馳走になったりプレゼントをいただいたら、お返しや手書きの礼状で感謝を伝える。そして誰かに紹介してもらった方とは勝手に二人だけで会わず、3回目までは紹介者を交えたり、報告をして、恩知らず、礼儀知らずにならないよう気をつけています。ほかにも細かいマイ作法はありますが、基本は、〝自分がされたらモヤモヤすることはやらない〟。かつてはサブカル側にいた私も、すっかり保守化。でもこれが、世間との軋轢を減らす賢い大人のテクニックでもあるのです」

「いくつになっても変化を厭わない」

新しいことに挑戦して昨日とは少し違った自分に。

似合いそうと言われたら髪をバッサリ。いいと聞いた化粧品や美容機器は条件反射で注文し、ストレッチは3年間も続けている林さん。

「週1回4時間のストレッチで姿勢や歩き方が少しずつ変わり、髪や肌もきちんと向き合えば何歳でもきれいになると知りました。変わるって楽しい。老境に入り、今さら守りに入る必要もないですしね。こんなこと言えるのもあと10年ぐらいかな。果実と一緒で成熟のいい時期は意外に短いものです」

林真理子 ストレッチでの変化

ストレッチに参加したのは2022年11月から。背中がまっすぐになったことで、首が伸び、立ち姿が若々しく。(左:before、右:after)

小さな変化だけではありません。2022年には日本大学の理事長に就任し、周囲を驚かせました。

「面白そう、と引き受けてしまったけれど、これまでの仕事とはまったく畑違い。財務や法務など苦手な分野と日々向き合わざるを得ず、想像以上に大変でした。でも、船に乗ってしまった以上やるしかない。背伸びなくして成長なし。これからどこに行くのか、どこまでできるのか試してみたい。成熟とは、昨日のままの自分だと少しつまらないよ、ということでもあると思っています」

PROFILE

林 真理子/はやし・まりこ

作家。82年、エッセー集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。日本文藝家協会理事長、日本大学理事長も務める。

写真/天日恵美子、ヘア&メイク/山本浩未(steam)、文/片岡えり、編集/今井 恵  『クウネル』2025年11月号掲載

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『クウネル』NO.135掲載

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