林 真理子さんが解く成熟できる女性とは?/前編「知りたい学びたいという好奇心や知識欲があれば何歳でも成長できる」

林真理子 プロフィール写真

年が改まり、「こんな一年にしたい」と思い描いている方も多いと思います。それとともに、「こんなふうに年を重ねたい」というイメージもしてみましょう。年齢を重ねて成熟する人と、老けていく人の差はどこに?「加齢を進化に変えた」達人、作家の林 真理子さんに伺いました。

失敗や苦労を重ねた人ほど成長のポテンシャルが高い。

人生の折り返しを過ぎてなお、外見も中身も磨き、魅力を増し続ける作家の林真理子さん。その秘訣は?

「まずは成長し続けようと思うことでしょうか。今のままでいい、はもったいない。知りたい、学びたい、という好奇心や知識欲を失わなければ、何歳であろうと成長はできるから。難しい分野じゃなくてもいいんです。例えば、あの映画見た? あの本面白そう。次の選挙どうなるかな、と興味や関心を持つこと」

知識と教養は加齢で減るものではなく、いくらでも増やせます。

「何でも知っている同郷の先輩、文化人類学者の中沢新一さんが、とてもいいことをおっしゃっていました。知識や教養は樹木のようなもので、どんどん枝が分かれて伸び、新しい葉をつけていく。だけど、勝手に成長するわけじゃない。手を伸ばさなきゃダメなんだ、と」

林真理子 大学理事長生活の様子

「よく勘違いされますが、平日はほぼ大学におります」。さらに週末は大学の用事で地方への出張も多く、まさに多忙を極める。

一方で、老害と言われる人も。

「年齢を重ねているのに、他者への思いやりがまったく感じられなかったり、正しいと思う自分の価値観を押し付けようとしたり。そんな人を見ると、この年まで何を学んでどうやって生きてきたんだろうと不思議に感じます。長く生きていれば、苦労をして人の痛みがわかり、助けられて感謝し、相手を思いやる気持ちが自然と生まれるものでしょう」

「かくいう私も、若い頃は恥ずかしい失敗だらけ。歯に衣着せない発言が面白がられ、余計な一言が多いのが一番の欠点でしたし、お節介な性分そのままに出過ぎたことをして迷惑をかけることもしょっちゅう。夜寝る前に、何であんなことを言ってしまったんだろうとくよくよ悩み……。でもいくつも失敗してわかりました。成熟には、足して増やすだけじゃなく、削ぎ落としていくことも必要。良かれと思って手を出す前に立ち止まる。言葉を選び、ときには真実であっても言わない。これは誰かに教わることではなく、悩んで考えて、自分で学ぶしかないんです」

苦労や失敗を重ねてたくさん悩んだ人ほど、成熟の伸び代がある。

「人生後半になれば、親の介護、夫婦問題、子育て、仕事に人間関係と誰もがすごい苦労を乗り越えているはずです。その経験に自信をもってほしい。私自身、日大の問題で激しいバッシングを受け、何でこんな目に……と思うことも。神様から時々すごく重たい課題を与えられるんですけど、それを逃げずに1つ1つクリアしていくと、また違う風景が見えてくるように感じます」

PROFILE

林 真理子/はやし・まりこ

作家。82年、エッセー集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で直木賞を受賞。日本文藝家協会理事長、日本大学理事長も務める。

写真/天日恵美子、ヘア&メイク/山本浩未(steam)、文/片岡えり、編集/今井 恵  『クウネル』2025年11月号掲載

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『クウネル』NO.135掲載

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