浅野順子さんのこれまでの人生、そしてこれから/後編。長い人生、夫婦もいろいろ。進む方向が違ってきたら潔く別々の道を選ぶ
ナチュラルにパワフルに駆けていて、清々しい人たち。
かっこいいその女性たちの元気、勇気にあやからなくては!
軌跡を振り返り今を見つめて、やめてきたこと、やめたいと思っていること、したいことを語ってもらいます。
浅野順子さんのこれまでの人生、そしてこれから。「年齢を重ねた自分の顔には黒髪は似合わないと思い」ヘアカラーは卒業からの続きです。
人生に起きること、その1つ1つがすべて財産。なにも後悔はありません。
19歳で結婚し、21歳で長男、23歳で次男を出産。そこから20年ほどは、喫茶店を開いたり、バーの雇われママをしたりで、子育てメインに横浜で生活。しかし思うところがあり、43歳で家を出て母親とともに東京へ。
「人生は長いから、夫婦お互いにいろんなことが起きる。でもそこで言い争いをしても仕方がないんです。進む方向が違ってきたら潔く別々の道を選ぶのがいい。執着したり、追いかけたりは絶対にしません」
SNSのアカウントは削除。電話番号は残したとしても、絶対にかけない。浅野さんに絵を描くことを勧めてくれた運命の相手と数年前に別れたときも、同じように距離を取ったといいます。
「振り返ると、出会ってきた人たちすべてが自分にとって財産だし、離婚もその後の恋や別れも、すべて無駄じゃなかった。相手と向き合ってしっかり終わらせてきたから言えるのかもしれません。ポジティブな意味で自己責任の感覚はきっと強いほう。人のせいにしないって大事ですね。誰かへの恨みつらみは、最も人生に不必要なものだと思います」
人に相談しない分、一人で溜め込みすぎ、なにかにつけてくよくよするという一面もあったそう。
「でも年齢を重ねて経験の引き出しが増えたせいか、思い悩まなくなったし、そうなる前に行動に起こせるようになった気がします。ただこれは悩むのをやめたというより、抵抗力がついたということなのかしら」
画家という新しいキャリアをスタートして10年あまり。今はアトリエで絵を描き、定期的に個展を開くという毎日を送っています。
新しいことをするのが好き。この先も挑戦は続けたい。
今後の夢を伺うと、
「近い将来、子どもたちに絵を教えたいと思っていて。子どもって生命力に溢れているから、私自身も教えることを通じて前向きになれそうでしょ。それからYouTube。この間、雑誌の企画で、人前で人生相談に答えるというイベントに出たんですが、それが結構楽しくて。もっともっと相談にも乗りたいし、しゃべりたいこともいっぱいあるし(笑)」
振り返らず、潔く前に進む。この先も、夢と希望を持って日々を過ごしていきたいと言います。
「昔も今も私の中で変わらないことがあるとしたら、それは一番大事なものが家族だということ。私、二度目の人生も今の自分と同じがいいと思っているんです。同じ夫と同じ息子たちがいい。まあそうはいかないとは思うんだけど、そのくらい、今の人生に後悔はないわね」
溜め込んだモノは徹底整理する予定。
溜め込む性格はやめたい。「処分したいものといえば、アトリエにある不要なあれこれ。キレイに片付けて絵画教室を開きたい!」
写真/松村隆史
スナップで見る浅野さんのライフストーリーの一端
生き方、装い、どの時代も自由。
PROFILE
浅野順子/あさの・じゅんこ
1950年生まれ、横浜市出身。日本とスウェーデンのダブル。俳優の浅野忠信さんの母。独学で絵画を学んで、60歳を過ぎてからは画家として活躍している。これから始めるYouTubeのタイトルは『順子ママチャンネル』を予定。本日は、10代からの友人が営む横浜・本牧通りの『ブギーカフェ』とその周辺にて撮影。
写真/加藤新作、取材・文/河野友紀
SHARE
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