「あんぱん」脚本家・中園ミホさんが影響を受けた4冊。やなせたかしの詩集など【アンコール記事】

これまでクウネル・サロンでご紹介した記事の中から、8月に読みたい記事をピックアップしました。
NHK朝の連続テレビ小説「あんぱん」もいよいよ佳境!ドラマではやなせたかしさんの詩集に感銘を受けた少女とやなせさんとの交流が描かれていましたが、その少女は脚本を担当する中園ミホさんなのでは?!と話題です。やなせたかしさんと中園ミホさんとのご縁が生まれたきっかけとなった詩集。その詩集についてや、「この本に出会っていなかったら、脚本家にはなっていなかった」という4冊についてご紹介します。
※記事の初出は2022年1月。内容は執筆時の状況です。
脚本家・中園ミホさん「私を作った」4冊
本を開いたら最後、やめられない、 止まらない。ご飯を食べるのも、眠るのも忘れて本の世界に入り込んでしまうという脚本家の中園ミホさん。何度も読み返すほど夢中になった本や、初めて大人の恋愛に触れたという本まで、中園ミホさんを作った4冊をご紹介します。

\BOOK1/
『詩集 愛する歌 第二集』
やなせたかし
「『人間なんてさびしいね』 は小学4年生の当時、父を亡くしたことと重なって心に残っています。卵の中から人が生まれてくる絵とかも大好き。ファンレターを出したらお返事をくださって、やなせさんとは思春期まで文通をしていました」
\BOOK2/
『カンナとメイコ』
神津カンナ
「中村メイコさんと神津カンナさん親子の日常を切り取った詩集。絵本も童話もたくさん読んでいましたが、この本は詩も絵も大好き。夏休みはこの本のことばかり考えていました。まるで恋愛しているみたいに。今でもここに出てくる詩は全部覚えています。カンナさんを真似て自分で詩を書いてみたり、脚本家になってからもこの詩集をセリフのヒントにしたり。私がものを書き始めたきっかけでもあり、 今も影響を受けている一冊です」
「忘れもしないのは、小学1年生のときに初めて親にねだって買ってもらった詩集『カンナとメイコ』。詩も絵も大好きで、一字一句覚えるくらい、夏休みはこの本のことばかり考えていました。まるで恋愛しているみたいに」
その思いを手紙に書いたところ、本人から電話をもらって感激したそう。「カンナさんを真似て自分で詩を書いてみたり、脚本家になってからもこの詩集をセリフのヒントにしたり。私がものを書き始めたきっかけでもあり、今も影響を受けている一冊です」

\BOOK3/
『夜中の薔薇』
向田邦子
「今も妥協しそうになるたびに『手袋をさがす』をめくります。ここだけ色が変わっていて、付箋だらけ。一言一言が心に刺さって打ちのめされるし、励ましてくれるし、背中を押してくれる。私にとっては、思い入れのある特別な一冊です」
やなせたかしの詩集に夢中になり、レイモン・ペイネが描く大人の恋愛に憧れた子供時代。そして大学生のときに出会った向田邦子のエッセイ『夜中の薔薇』に心揺さぶられたといいます。
「気に入った手袋が見つからないから、やせ我慢して手袋なしで冬を過ごすというお話なんですが、会社の上司に〝女がものにこだわっていると幸せになれないよ〟みたいなことをいわれるんです。でも向田さんは、自分はやっぱり手袋を探していこう、と決断するんです。その妥協しない腹の据わった覚悟がカッコよくて。こだわりをねじ曲げることなく、私は私の思う道を進めばいいんだ、と勇気をもらいました」

\BOOK4/
『ペイネ 愛の本』
レイモン・ペイネ
みすず書房
「熱を出して学校を休みがちだった10歳くらいの頃、 母が枕元に置いていってくれた一冊。あるカップルの愛のかたちを描いたロマンティックなフランスの漫画で、ベッドサイドのシーンもあって、大人の恋愛に憧れて夢中になりました」
もし、この本に出合っていなかったら、きっとまわりの大人たちの言うまま結婚して脚本家にもならず、違う人生を送っていたと中園さんはいいます。
「向田さんが亡くなった年齢をとうに越してしまいましたが、いまだに雲の上の人。手の届かない憧れの人です」
中園ミホ/なかぞの・みほ
’59年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、広告代理店勤務を経て占い師に。’88年に脚本家としてデビューし’07年『ハケンの品格』で放送文化基金賞、’13年に『はつ恋』『Doctor-X 外科医・大門未知子』で向田邦子賞と橋田賞を受賞するなど脚光を浴びる。20年11月より占い師として新たに『福寿縁うらない』を〈クウネル・サロン〉でスタート。