染色家・吉岡更紗さんが大切にする言葉。情報や評価に左右されず自分が心地よいと思うものを大切に

人生のどこかで、ふとしたきっかけで出合った忘れられない言葉。勇気を与えてくれたり、心を軽くしてくれたりそれぞれの人が心に留めている大事な言葉を染色家の吉岡更紗さんに教えていただきました。
吉岡更紗さんが大切にしている言葉。

染色の師でもある亡き父・「染司よしおか」五代目吉岡幸雄が、古い染織品の調査中に言っていた言葉です。
私の仕事は植物から色を取り出して染めること。「どのような思いでその色を表現したんですか?」
と聞かれることもありますが、できるだけ個人的な感情は入れず、柔軟に色をとらえるようにしています。
お手本にしているのは、季節や天気によって移り変わる自然の色。その時々によって見え方の違う自然の色をとらえるにはフラットな視点が大事ですし、様々なものを見て経験を積まないとその力は鍛えられません。これは衣食住すべてにおいて言えることじゃないでしょうか。情報や評価に左右されることなく、自分が心地よいと感じることを大事にしたいと思っています。
PROFILE
吉岡更紗/よしおか・さらさ
染色家 47歳
アパレルデザイン会社勤務を経て愛媛県西予市野村町シルク博物館で染織の技術を学ぶ。2008年に生家である京都の老舗染屋「染司よしおか」に戻り父の元で修行を積む。2019年より六代目当主に。
『クウネル』2025年7月号掲載 イラスト/naohiga、取材・文/吾妻枝里子
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