【独占スペシャルインタビュー】竹内まりやさんに10の質問。~アルバムについて、人生について~
大反響のクウネル2024年11月号に登場いただいた竹内まりやさん。誌面では語りきれなかったことがまだまだあります。10月23日に発売の10年ぶりのアルバム『Precious Days』への思い、家族のこと、これからのことのクウネルサロンだけのスペシャルインタビューです!
目 次
Q1/アルバムタイトル『Precious Days』に込めた思いは?
「日々の営みの中にあるささやかな幸せに感謝するという思いがあります」
コロナ禍があり、ウクライナやパレスチナの戦争があり、大きな地震があり‥‥。1日1日を安全に平和に過ごせるのは、当たり前のことではなく、ほんとうに希有なことなのだと思うようになりました。そんな毎日こそがプレシャスで、かけがえがないという思いをこめて『Precious Days』というタイトルをつけました。
「smiling days」「days of love」などタイトルに「days」とつく、日々の暮らしを題材にした歌も多くありましたし。日常を楽しむというのが、私の人生のモットーでもあります。1日の終わりに、今日も1日元気に過ごせてよかったと思えることが最高のご褒美。そういう日々が続くことを願っているところがあります。
コロナ禍があり、ウクライナやパレスチナの戦争があり、大きな地震があり…。1日1日を安全に平和に過ごせるのは、当たり前のことではなく、ほんとうに希有なことなのだと思うようになりました。そんな毎日こそがプレシャスで、かけがえがないという思いをこめて『Precious Days』というタイトルをつけました。「smiling days」「days of love」などタイトルに「days」とつく、日々の暮らしを題材にした歌も多くありましたし。
日常を楽しむというのが、私の人生のモットーでもあります。1日の終わりに、今日も1日元気に過ごせてよかったと思えることが最高のご褒美。そういう日々が続くことを願っているところがあります。
Q2/曲順はどのように決めましたか?
「朝から夜まで、1日をたどるような構成になっています」
朝の情報番組のテーマ曲「Brighten up your day!」から始まって、17曲目の夜のニュース番組のエンディング「今日の想い」まで。その1日の間で、テンポの速い曲遅い曲、メジャーとマイナーを、どのように組み合わせて緩急をつけるかを考えました。今回は8人の編曲者が参加しているのも聴きどころです。それぞれタイプが違うので、お互いを活かし合うことになり、その相互作用が作品を面白いものにしていると思っています。
Q3/7曲目の「遠いまぼろし」は誰の曲?
「杉真理さんが作ってくれました」
杉さんとは大学時代に一緒にバンドを組んでいた仲で、彼がコロナ禍のときにこの曲をメールで送ってくれたんですよ。もともとはインストのデモで、彼には珍しいボサノバ調のマイナーメロディだったので、これはぜひ自分で歌詞をつけて歌いたいと思いました。
Q4/ラストの18曲目にアンディ・ウィリアムスを持ってきたのは?
「このアルバムの締めくくりにふさわしいと思いました」
「May Each Day」は、幼い頃、テレビで見ていた音楽番組『アンディ・ウィリアムス・ショー』のクロージングに使われていた曲。"あなたの毎日がよい日になりますように"と願う歌で、いつかカバーしたいと思っていました。
編曲は服部克久さんにお願いするつもりでいたのですがお亡くなりになって。どうしようと思ったのですが、息子の隆之さんが引き継いでくださることに。オーケストラを録る本番の日、最初の一音が鳴った途端に、「ああこれは克久さんのスコアそのものだな」と胸が震えました。感謝をお伝えしたら、隆之さんは「オヤジのことを言われると、いまだに涙が出てしまいます」っておっしゃったのが印象的でした。
Q5/前作から今作までの10年間でまりやさん自身の大きな変化は?
「3年前、父を亡くしたことでしょうか」
97歳の大往生でした。コロナ禍で私のツアーは中止になりましたが、最後に父のそばにいることができたのは本当によかったと思っています。兄弟6人が集まって、みんなでビデオを見ながら「あの時はこうだったね」と話をしたり、交代交代で父のそばに寝たり。旅立つときは、微笑んでいたように見えました。あっぱれな最期だなと感じ入りながら、人生はこうやって終わっていくんだな、1日1日を大事に、ちゃんと生きなければと改めて強く思わせてくれました。
Q6/お母様のご様子は?
「父の死を乗り越え、今は趣味を楽しんでいるようです」
大恋愛の末、20歳で学生結婚して、6人も子どもを生んで。とても仲のいい夫婦でした。それだけに父を喪った喪失感は大きかったと思うんですよ。でも偉いなと思うのは、3年経ってそれを乗り越えようとしているところです。
96歳になったんですが、ガーデニングと書道とタブレットゲームが趣味で、今も東京の書道教室に通ったりしています。母のその好奇心旺盛な生き方と精神的な強さに、私は影響を受けているような気がしますね。
Q7/まりやさんの歌が時代を越えて愛されているのはなぜだと思われますか?
「達郎の編曲によるところが大きいと思っています」
彼は、時の試練に耐える、普遍性のある音作りにこだわっています。できる限り、時代を問わない音にするには、具体的にどうすればいいのかを考えてアレンジしているんです。そのことがとても大きかったと思いますね。
海外でも近年、84年のアルバム『VARIETY』の中の「Plastic Love」という曲が話題になって。40年の時を経て、海外で人気を得たのはうれしい驚きでした。
「Plastic Love」はもともとは達郎のやるような16ビートの曲が書けたらいいなと作った曲で、お気に入りのトラックのひとつではあったんです。今なら打ち込みで作るグルーブ感を、80年代の日本人のプレイヤーが卓越した演奏によって生み出している。そこが外国の人にとってミラクルだったんでしょうね。達郎のアナログ盤も、海外で人気があるんですよ。
Q8/海外で人気を呼んでいる実感は?
「学生時代のホストファミリーの住む田舎町でも聴かれていたのは驚きました」
高校生の時留学していたイリノイ州の田舎町の電気屋さんで、ずっと達郎と私の曲がかかってるんですって。ホームステイ先の家族の、孫にあたる10代の男の子が、「この人は昔ウチにホームステイしてたんだよ」と店主に言ったら、「ウソだろ」「いや、マジで」という話になったらしいんですよ(笑)。
ステイしていたときの写真を見せて、やっと信じてもらったらしいんですけれど。後日、その店主の方から、達郎と私の肖像画を描いた額縁が送られてきました。
Q9/デラックス盤付属のライブ映像17曲を収録したディスクの見どころは?
「レアな映像が入っています」
14年の武道館公演で達郎が「Plastic Love」の後半を一人で歌っている場面は、達郎ファンには喜んでもらえそう。彼自身はライブソースを絶対リリースしないので。このディスクを見て、次のツアーに行ってみようかなという方がいてくださったらうれしいですね。私も、体を鍛え、これから少しずつボイストレーニングをして、しっかり来春に備えます。
Q10/最後にクウネルとこの記事の読者のみなさまへ、メッセージをお願いします。
「日常生活を大切に年を重ねていけたら」
私たち世代は雑誌で夢を育んだ世代ですよね。田舎に住む少女だった私にとっても、雑誌の与えてくれた夢は大きなものでした。私は今も雑誌が好きでよく手にしますが、皆さんも自分にフィットする記事のある雑誌を探して読んでいるのではないでしょうか。『クウネル』読者は、日常生活を大事にしながら、なおかつきちんと自分のポリシーを持っている方が多いように思えます。
桜が後何回見られるかしらと初めて考えたのは、50歳で「人生の扉」を書いたときでした。あれから20年経ちます。日々を大切に、皆さんと一緒に年を重ねていけたらすてきですね。
写真 中村力也 スタイリスト 斉藤伸子 ヘア 松浦美穂 TWIGGY. メイク COCO sekikawa office 取材・文 丸山貴未子 編集 河田実紀