【竹内まりやさんスペシャルインタビュー/後編】日常こそがプレシャス、かけがえがないもの
数多の素晴らしい曲を生み出し続ける歌手・竹内まりやさんがクウネルに初登場。「小さいころから雑誌が大好きで、クウネルも愛読してます。今日のニットもスカートも、クウネルのイメージで選んだんですよ」。竹内まりやさんの思いのこもったスペシャル企画。あえてフランクに〝まりやさん〟と綴ったとっておきのインタビューをどうぞ。
かけがえのない日常を、大切にいつくしみたい。
旅もやりたいことのひとつと続けます。「旅は好奇心を満たし、非日常を味わえる時間。行きたいのはアイルランド、ポルトガル、インドのラダック地方……。現地音楽も興味があります。ただ、非日常だけでなく、日常こそがプレシャス、かけがえがないものと思っています。家族との時間もそう。達郎とは一緒にいる時間が長いですが、ファミリーの日常を楽しむこともとても大切。寝る前に〝今日もいい1日だった〟と思えることが最高のご褒美。そういう日々が続くことを願っています」
まりやさんの思いは作品にも反映され、最新のアルバムタイトルは『Precious Days』。日常を愛おしむ曲の数々が奏でられています。そして、多くの人との再会もやりたいことと話します。
「私ももうすぐ70歳になります。人生の残り時間を考えると、会いたいと思う人には会っておきたい。51年経ったいまも連絡を取り続けている、高校時代に留学していたアメリカイリノイ州のホストファミリーにも会いにいきたいですね。また、親しかった友人などここ何年かで近いうちに会いたいと思っていたのにかなわぬまま亡くなった方たちがいて。伊集院静さんもその一人。もともとは達郎の飲み友達だったんですが、実家の出雲の旅館に泊まりに来て、父と交流をもってくださり、本当によくしていただきました」
そして音楽家としては、今まで楽曲を提供したことのないアーティストに曲を書いてみたいという希望も。
「ちょっと畑違いのアーティストですと、自分のために書く曲とはまた違うものが生まれる可能性を感じて楽しいんです」
テレビ番組のテーマ曲や映画の主題歌を依頼されることも多いまりやさん。
「テーマを与えられると、そこから発想した言葉が曲作りの手がかりになるので、自由に作るときよりスタートは早いかもしれません。依頼されたからには私らしさを返す必要もある。一方で、らしさに凝り固まって、リスナーや自分が飽きてもいけないから、曲調やテンポで変化をつけたりして。その試行錯誤する時間が好きだから、45年も続けられているんでしょうね」
これからもアルバムを作り続け、ライブで歌い続けることも大きな目標です。
「歌手としてあとどれくらい続けられるかなと考えるようになりました。50代を迎えたころは『70歳過ぎまで歌えたら』と思っていましたが、いまは『80歳でライブをやりたい』と。『岸壁の母』で知られる歌手の二葉百合子さんは、引退こそされましたが、90歳を過ぎても歌声は現役同様でした。そういう先輩がいらっしゃると、私もがんばれる気がします。まずは来年の4月から始まるツアーのためにボイストレーニングしないと!」
竹内まりやさんがやっておきたい10LIST
1. 70歳目前、ちゃんと運動をしたい。
2. (国内外問わず)旅をいっぱいしたい。
3. 会いたいと思う人に会いに行く。
4. 家の断捨離(ツアーが終わったら絶対!)。
5. 書いたことのないアーティストに曲を書きたい。
6. 知らないことをもっと勉強したい。
7. アルバムをできる限りつくり続けたい。
8. 家族や友人との普通の日常を楽しむ。
9. ちょっとだけダイエットをする。
10. 80歳まで歌い続けられるようボイストレーニングをする。
PROFILE
竹内まりや/たけうちまりや
1955年島根県出雲市生まれ。’78年デビュー。結婚後は独自のスタンスで、他アーティストに多くの作品を提供しながら、シンガーソングライターとして活動。2023年にデビュー45周年を迎えた。2025年4月からは全国ツアーがスタート。
竹内まりや公式HP
竹内まりや45thANNIVERSARY特設サイト
竹内まりや公式Xアカウント
10月23日(水)発売の12枚目のオリジナルアルバム『Precious Days』。ドラマや映画を彩った楽曲や最新シングル「歌を贈ろう」、山下達郎とのデュエットなど全18曲を収録。デラックス盤にはライブ映像17曲を収録したディスクがつく。
『クウネル』2024年11月号掲載 写真/中村力也、ヘア/松浦美穂 TWIGGY.、メイク/COCO sekikawa office、スタイリング/斉藤伸子、取材・文/丸山貴未子、編集/河田実紀