かの香織さんの本棚は少数精鋭。人生を楽しくシンプルに過ごすための本との付き合い方

作詞作曲家、シンガー、音楽プロデューサーであり、日本酒蔵人としても活躍するかの香織さん。本が大好きで、素敵なライフスタイルを確立しているかのさんの自宅にお邪魔して、本との向き合い方について伺いました。

PROFILE

かの香織

作詞作曲家、シンガー、音楽プロデューサーとして長らく活躍する一方、宮城県で生家の蔵元を継承する日本酒蔵人でもある。2022年12月21日に、Blu-ray映像付き3枚組ベストアルバムをソニー・ミュージックよりリリース。

減らして減らして残る本が暮らしの糧に

仙台の「OGATA」製の読書ベンチに本を。コルビュジエ、吉村順三、J・バワなどの建築作品集やウォーホルの画集も。

「もう10年ほど、周りのものを消去法で整理しています。どうしても捨てたくない本だけを家に置くように。少なくても十分なんです」

かの香織さんは引っ越しごとに、本棚は実家の会社に送ったり、本も何百冊という単位で処分してきたそう。自宅に残した本は今、本棚に見立てたリビングのベンチに、大判中心に40~50冊。他にローテーブルにコンパクトサイズの読み物類をランダムに積み重ねています。

「主に好きな建築家、デザイナーの本、写真集です。この後の人生を楽しくシンプルに暮らしたい希望を叶えるために必要な本に絞って。神保町の古書店や、旅先の空港などで見つけた、思い出もある個人的な貴重本ばかり」

自然療法、色彩、日本酒に関する本。「私にとっては新しい語彙の宝庫」という日本酒造りの専門書『最新酒造講本』も。

ビジュアル本に混じって詩集が数冊

アジアなど旅先で求めた本が重なる上には長田弘ほかの詩集が。「詩集は想像を広げるスペースがあるので好き」

詩の本、引き継いだ家業に繋がる日本酒の本もありますが、ビジュアル本が大半。実はそれには理由があって。

「本は大好きなのですが、もともと私、難読症で文字いっぱいの本は読みづらくあまり手に取らなくて。文章で情報を取り入れたい本はKindleの読み上げ機能やオーディオブックを活用することが多いんです。上手に使えば、年齢を重ねた人の役に立つやさしいツールだと思います」

「祖父が庭を造る時参考にしただろう本、今はなさそうな意匠が載っていて感激」。

大正期に出版された『日本庭園図面百種』。

必要な本を選ぶ決断を冴えさせ、足りる量の蔵書で暮らす。かのさんスタイルは特別なようで、現代ブックライフへの賢い提案の一つと言えそうです。

『クウネル』2023年1月号掲載。写真/玉井俊行 取材・文/原 千香子

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『クウネル』No.118掲載

私の人生を変えた本

  • 発売日 : 2022年11月18日
  • 価格 : 980円(税込) (税込)

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