『死に方がわからない』で注目の著者が選んだ「誰にでも訪れる老いを学ぶ」3冊
独り身のきれいな逝き方を、ユーモアたっぷりの筆致で綴った『死に方がわからない』で注目の門賀美央子さん。次は“老い方”がテーマだそう。そのテーマに関連した3冊をご紹介いただきました。
門賀美央子/もんがみおこ
近著『死に方がわからない』が実用的かつ面白いと好評。続く『老い方がわからない』を双葉社のサイト「カラフル」で連載中。
独り者の最期の始末の仕方を探る途上で、「長生きが本当に幸せなのか」という疑問を覚えた門賀美央子さん。次の課題は自然と「老い方」に。科学、歴史、現役老人の各視点から「老いを学ぶ」3冊を選んでくれました。
『寿命ハック 死なない細胞、老いない身体』
1冊目の『寿命ハック』は気鋭の分子生物学者が、寿命について現在わかっていることを端的にまとめた本。「科学の進歩は早いので、今まで信じていた健康知識が次々塗り替えられ、嘘にもなる。知識のアップデートの大切さとともに、不老長寿が生物として幸せなのかと考えさせられました。死というゴールがあるからがんばれるとしたら、悪くないこととも思えます」
『ひとり暮しの戦後史 戦中世代の婦人たち』
歴史的な視点からは『ひとり暮しの戦後史』をセレクト。戦争に同世代の男性を奪われ、独身で戦後を生き抜いた戦中世代の女性の記録です。「女性の定年が30代、賃金格差もひどいなど、女性の権利も地位も制限されていた時代に、突破口を開いてくれた方たちがいたから今がある。その恩恵を忘れてはいけないし、自分は次の世代に何を残せるのか、考えたい」
『九十八歳。 戦いやまず日は暮れず』
最後の『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』は老いてなお意気軒昂な作家、佐藤愛子さんのエッセイです。「100歳を前に、これぐらい元気にやれるなら年をとるのも悪くないかなと。時代に迎合するのもいやだけれど、変化する社会に対して、的確に判断する軸を持ち続けたいという思いもわきます。老い方を探りながら考えていきたいことですね」
『クウネル』2023年5月号掲載
取材・文/丸山貴未子
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『クウネル』No.120掲載
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- 発売日 : 2023年1月20日
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