イーオクト代表・髙橋百合子さんがお金について考える。「お金は支え。自由に生きろと言ってもらえている気がします」

「あれば安心」のお金ですが、どれくらい必要で、どんな風に使うのが快適かは、人によってちがいます。「これから」を見据えたお金との心地よい関係についてさまざまな価値観の方に伺いました。

髙橋百合子/たかはしゆりこ

イーオクト代表 70歳

スウェーデンを中心としたデザイン製品・日用品の輸入販売を通して、サステナブル(持続可能)な社会の実現を目指し事業を展開。https://www.eoct.co.jp/

もともと無駄遣いをしない性格。 ですが、3年前に夫を亡くし、 ひとりになってから、よりその傾向が強まったと言います。

「夫が残したものの整理が本当に大変だったんです。もうこれ以上のものは抱えたくないという思いがあり、買い物は食品以外ほとんどしていません。『七十にして心の欲する所に従いて矩を踰えず』というところかしら」。だからといって、お金は無くていいという考えではありません。

「お金がある程度あれば、生き方を左右されたり、何かを諦めたりすることはないと思う。お金という存在に、人生を支えてもらい、『自由に生きろ』と言ってもらっている感じがします」。お金に後押しされ、この先の未来に向け動いています。

森の保全と再生活動を行う「weMORI」や、サステナビリティを理念とする「白馬インターナショナルスクール」の教育事業など、どちらも「よりよい未来のための投資」と、実に清々しい。個人的には、建築家だった夫の最後の設計である自宅を葉山の山の上に建築中です。

亡き建築家の夫が設計した新居の図面。「建築費が予想外にかかる設計で、一瞬、実行を迷いましたが、来年1月に完成です」

「夫が一目で気に入った、海と富士山を見晴らす、素晴らしい景色の場所です。夫の死後、建てるかどうか考えました。でも、夫があれだけ気に入っていた場所に、彼の設計した家を建てる......。人生の最終章はとことん気持ちいい環境に住むと決めました」

年齢を重ねると、暮らしを縮小していきがちですが、髙橋さんは新しい道を、前へ前へと進んでいます。

「 60代のときはお金に少し無頓着だったかも。70代のいまのほうが、積極性が増している気がします。生きているうちに、お金が生きる使い方をしたい。楽しいことにどんどん使いたい。自分の財産は、社会へどんどん還元をしていって、一生涯の決算でいうと、最後は0になるというのが目標ですね」

唯一といっていいほど、現在お金を使う日用品が本。電子書籍も活用。「大量の本を、複数のデバイスで読めて本当に便利」

『クウネル』2022年11月号掲載
写真/柳原久子、杉能信介(石黒さん)、 取材・文/鈴木麻子

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『クウネル』No.117掲載

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