〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーのKayoさんこと重盛佳世さんのライフスタイルエッセイです。『全くダメな英語が1年で話せた!』シリーズが累計28万部を超えるヒットを飛ばし、いまや「英語の達人」。そんな人気のKayoさんが大好きな母へのギフトで気づいたことについて。
「そこまで年老いていない」と拒む母と、
心配をする家族との攻防戦
コロナ禍で以前のように気軽に帰省できない今、離れて暮らす両親と「脳トレ」と称して、それぞれ30分ほど長電話をするのが日課です。外出も控え気味なので、この親子での会話は年老いた両親にとっても、私にとっても、とても大切な時間。 今回は、その中のひとつで目からウロコのエピソードをご紹介いたします。
母は足が悪く、外出する際には杖を突いて歩いています。歳を重ねるごとに足への負担も増えて、ここ2~3年は外出の数も減ってきました。またコロナの影響でコミュニティの機会も減り、今では週に1度の買物と月に数回の通院のみ。
そんな生活を続けていると、やはり筋肉の量も減ってきて益々足に負担がかかって歩くのが大変になってきました。母曰く、ショッピングカートを押しながら歩ける買物は平気だが、病院に通うのが辛いと。そこで私は、シルバーカーのプレゼントを提案。
しかし、即座に「あれはお年寄りが使うものじゃん!まだそこまでいってない!」と却下されました……。ただ今のままでは悪くなる一方なので、まわりからのジワジワ作戦に切り替え。私からは「杖だけだといいほうの足にどんどん負担がかかって、いずれは歩けなくなっちゃうよ。そうしたら辛いでしょ。だったら今の状態をキープするために、少しでも足に負担のかからないシルバーカーにしようよ!」って。そして父と妹からは、「まずは買わなくてもいいから、介護用品のお店に見に行ってみようよ!」と、母を連れ出してもらいました。
3人で介護用品店に出かけた晩、母から電話がありました。「佳世さん、買っちゃった~♪すっごく楽だし、オシャレだし、これで外出も大丈夫!」とかなり弾んだ様子。最初はシブシブだったものの、店頭でいろいろ試していたら、やはり歩行が楽なことを実感したとのこと。しかし、いかにも年寄りっぽい地味な色のものが多く決心がつかなかったときに、父親が赤系の母の好きそうなデザインのものを探し出し勧めたところ、すんなりOK!そのまま購入を決意したようでした。
シルバーカー外出、雨の日は?
それから2ケ月くらい経ったとき、母がこんなことを言いました。「ここのところ、外出する日に限って雨なのよ~。一度、傘をさしながらシルバーカーを押したら片手でバランスが取れなくて怖かったから、もう傘は諦めているの。車から降りてからのちょっとした距離だから大丈夫なんだけどね……」と。それを聞いた私はふと、イギリスの人たちは雨でも傘をささず防水ジャケットでいたことを思い出し、「だったらカッパとかポンチョにすればいいじゃん!」と提案。早速、母に似合いそうなレインコートをチョイスしたのでした。
シルバーカーもすっぽり覆うレインコート
選んだのは、自転車にも使えるという前身ごろにゆとりのあるレインコート。それもちょっと可愛いワインレッドのチェック柄。(かわいいおばあさんになることを望んでいる母にはピッタリかと!) すると、またまた母から歓喜の電話。「ありがとう!すっごくいいわ~。カッパって言っていたから、透明とか黄色とか想像していたけれど、これならオシャレでいいわね~。前にゆとりがあるからシルバーカーの部分にもかかるし、バッチリ!早く雨が降ってくれないかしら~、そしたらコーラスの仲間にも見せられるのに!」と。あれだけ雨の日を嫌がっていたのに、良かった良かった。
しかし父の話によると、レインコートが届いてから外出の日には雨が降らず、未だレインコートは未使用とのこと(笑)。皮肉なものです。が、外出する際に雨が降らないのは、足の悪い母にとっては有難いことです。それに離れている娘からすると、雨の日にもしっかり両手でシルバーカーを押して濡れずに歩いてもらえるのが何よりも安心なことなのです。
結論:シルバーカーには余裕のあるレインコートがおすすめ。年寄りだからこそオシャレなコートで雨の日も楽しく♪です。私には(こんなできた)娘はいないので、必要な時期になったら、(この経験を活かし)素敵なシルバーカーとレインコートを自分に贈りたいと思っています。