長らくモデルとして第一線で活躍するはなさん。いつも背筋がピンと伸びていて、それが「見た目」をより美しくしています。近年、夢中になっている茶道の影響もあるのかも?お話を伺いました。
たおやかな。そんな表現が似合う素敵な女性。身にまとう雰囲気が柔らかで、ふわっと微笑む顔がなんともチャーミング。その感想を素直に伝えると、「外にいる時はある程度気を付けいるけれど、家にいるときお見せできないほどですよ」と言います。
モデルとして十代の頃から活躍しているはなさん、美しいのはもちろんなのですが、最近始めた茶道の影響で、エレガントな所作という魅力も備わったように感じます。
茶道は、亭主と客の交歓の作法や茶道具、庭園や建築、絵画、書、さらに 侘び寂びなどの精神文化などを総合的に追求する日本の伝統文化。日本人ならではの知識や振る舞いを身に付けることができるお稽古と言われています。はなさんが茶道を始めたのは、ごく最 近。きっかけはなんでしょう?
「祖母から受け継いだ着物を一人で着られるようになってからです。せっかく着られるようになったのに、なかなか着ていく機会がなく……。そこでお茶を習ってみたいと思ったのです」
それと時を同じくして、茶の専門誌で連載を持つ話が巡ってきました。茶道のさまざまな分野で活躍するプロに取材をする企画です。
「マナーについていえば、最初に驚いたのがお辞儀です。お稽古が始まる前に、扇子を置いて正座をして指をついて深くお辞儀をします。それまで正座して改まってお辞儀をすることってほぼなかったので、戸惑いを感じました。それでも回を重ねるごとに自然にできるようになってきたかな」
特にルールはないけれど、腰からゆっくり折れて最後に目線を落としな
がら頭を下げる。これこそが、美しく丁寧な、最上級のご挨拶です。
「テーブルでする簡易的なお手前ですが」と、スタジオでお茶を点ててくださいました。一服分の抹茶を茶筅ですくい、茶こしで茶碗に振い落とします。熱湯を注ぎ、茶筅を動かしながら細かな泡をたてるはなさん。ひとつひとつの動作が滑らかで優美。スタッフ一同、見とれてしまいました。
「指の動きをきれいに見せるためではなく、お茶道具をより美しく見せるのが目的です。たとえば、茶筅も長く見えるように先を持つとか、道具を丁寧に優しく扱うようにと教わりました」
ものを丁寧に扱うことは、日常生活でも生かせそうです。指先もさることながら、背筋もピンと伸びてきれいですねと声をかけると……。
「お茶のお稽古の時は、着物を着るのですが、洋装の時より気を付けて胸を張るようにしています。背中に帯があるので、そうしないとどうしても姿勢が悪く見えてしまうのですね」。姿勢は幼い頃からお母さんから厳しく躾けられていたようで、気を付けているといいます。
「人に見られているからというよりも、自分のために。疲れているときにそれに任せてだらっとしていたら気持ちまで疲れてしまいませんか? 姿勢をピッとすると気持ちもしゃんとするし、体の軸も整いますよね。あと大切なのは笑顔。どんなにくたくたの時でも口角はあげるようにしています」
はな
17歳からモデル活動を始め、その後、テレビの司会、ナレーション、エッセイの執筆など多方面で活躍。毎週金曜日9:00~12:00FMヨコハマにてDJを務める。茶道、仏像鑑賞、お菓子づくりと趣味も多彩。
著書紹介●『はな、茶の湯に出会う』(淡交社)
茶道ビギナーのはなさんが、茶道にまつわるエキスパートを訪ね、知識を深めていく過程を紹介。最後には茶会を開く。
『ku:nel』2019年7月号掲載
写真 柳原久子/取材・文 鈴木麻子