急遽、住まいを変えることとなり、家探しから、荷造り、運搬と、てんやわんやの引っ越しを終えたばかりの<クウネル・サロン>プレミアムメンバーの松永加奈さん。新居を整えるなかで、とある住まいの傾向に気づいたといいます。
先日、急遽決まった引越しを無事終えました。リビングが中庭に面し、お向かいさんが離れていた今までのアパートとは違い、今回は典型的な住宅街。窓を開けば、細い通りを隔てて人々の生活が間近に感じる…というか、あれ、見える? そう、フランスではカーテンを閉めないお宅が多いのです。
日本から来る人たちが夜の街で「窓の明かりがパリっぽい」と言うのをよく聞きます。カーテンがない窓にオレンジ色の光が並ぶ様子は、特別な光景ではないのですが…言われてみれば確かに。日本ではカーテンを閉めるのが習慣で、私も「外から部屋の中が丸見えになっちゃう!」と日中でもレースのカーテンを引いていました。でも今は、就寝前まで厚地のカーテンすら開けっ放し。ご近所はみんなそんな感じで、夜でもレースのカーテンだけだったり。だからバルコニーに出ると、アペロを楽しむ人たちやテレビの画面、大きな絵に古い書棚などいろんなものが見えます。もちろん、暗くなるとすぐにカーテンや雨戸を閉めるお宅もありますが、オープンにしていても目立たないというか、気にならないというか…。フランスはご存知の通り「人は人」という文化。カーテン事情についても同じかもしれません。そしてほかにも、日常の中で「カーテンがない方が楽」だと思うことがたびたびあります。
パリの古い住宅は縦長の窓が一般的。天井も高いので、太いカーテンレールに吊り下がる長くて重いカーテンは開閉し難いのです。もし強引に布を引いて外れると、取り付けるのもひと苦労(経験済み)。同じく、レールがない部屋は設置すること自体が大変。だったら開けっ放し、カーテン無しでいいや!ということに(その場合、窓に薄いカーテンを”直付け”するパターンもあります)。また、ほとんどの窓が内開きなので、カーテンを閉じた状態だと窓が簡単に開けないという難点も(ちなみに内開きは網戸が付けられず、夏は蚊や虫との戦いです)。
部屋ごとに設置したりしなかったり、薄い布だけ使っていたり…フランスの暮らしでカーテンは「人それぞれ」の存在のようです。ただし「人通りのある場所で洗濯物を外に干すのはNG」という景観第一主義のパリ。以前、友人が窓辺の内側に段ボールを積んでいたら「うちから荷物が見えて不愉快だ」と近隣住民から苦情が入ったそう。そういえば、カーテンなしの部屋はどこも綺麗なので、見えてもいいように意識しているのかも?久しぶりにお向かいさんが接近しているアパート暮らしになった我が家。苦情が来ないように、整理整頓に励もうと思います。