在パリ<クウネル・サロン>メンバーの松永加奈さんは、現在お引越し準備真っ最中。新築物件はほぼ皆無というパリの住宅のなかで、できる限り快適で「近代的」な住まいを見つけようと、家探しをしているそうです。日本とはちがう不動産事情、興味深いですね。
突然ですが、引越すことになりました(とはいえパリ市内ですが)。我が家のオーナーは2年前から部屋を売りに出していて、内見者がたくさん来ていたもののなかなか決まらず「パリ在住の間はこのまま住み続けられるかも?」とタカを括っていたところに急展開。1か月以内に次の家を見つけ、引越さなければならないという状況に…。そんなわけで、急遽、家探しをしました。
パリのアパートというと「クラシカルで雰囲気があって素敵」と思われがちですが、実際に住むとなると、建物はトラブルだらけ。基本的な設備が”問題なく”機能する日本の住宅事情とは全く異なります。というのも、パリには「新築物件」はほぼ皆無で、1960~70年代に建てられたものが「近代建築」と呼ばれる最新クラス。築100年はごく一般的、16世紀の建造物もまだまだ現役です。歴史的価値はありますが、当然内部は古いまま。修復や補填など定期的にメンテナンスされていても、ゼロからの建て直しではないため、あちこちがボロボロなのです。
そういった中でよく起きるのが、天井や壁からの「水漏れ」。大抵、老朽化したパイプが原因です。責任の押し付け合いで揉めることもしょっちゅうで、これは「パリのアパートのオプション」とみんなが諦めているほど。また、換気が悪く、湿気で壁紙や塗装が剥がれ、カビが出やすいのも困りもの。地下にゴミ捨て場があるのでねずみの出現率も高いです。さらに、水回りや建具、電気類など、プロが直しに来ているはずなのに、どういうわけかまたすぐ壊れてしまうという…もしかしてこれが最大の問題?
古い建物が集まったパリの街は、いつもどこかが工事中。そのおかげで、断水や停電もよくあり、告知なしに水が止まると頭を抱えるほかなし。また、大がかりなリノベーションで、建物が揺れるほどの振動と騒音が何日も続いたり、エレベーター工事が遅々として進まず「永久に終わらないかも?」と思いながら階段生活をしたり…こんな感じで、常にトラブルが巡ってくるのが、パリのアパート暮らしです。
あれこれ悩みは尽きませんが、パリのアパートはどの部屋も個性的でつくりが違うところは魅力。住人(オーナー)がその都度リフォームするので、同じ建物内でも内装や間取りが部屋ごとに違うのです。DIYも盛んで、理想の空間を自らつくる友人たちの姿に、暮らしの楽しみ方を見る気がします。不便さをいかに笑い飛ばせるか、という度量が試されるパリ生活。私の次の住処はどうなることやら。せめてトラブルが最小限に抑えられますように…。
【松永加奈のフランス便り】で知るパリのホント
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