クウネル世代の女性たちは今、どのように過ごし、 何を大切にしているのでしょう。暮らしを楽しむ方々の 人生を豊かに整えるものを、自撮り写真と共にお届けします。パリで仕事をし、郊外にあるブーロンマーロットの家で過ごし、 植物が生き生き育つ庭を楽しむ。そんなエネルギーいっぱいの庭について、島田さんの楽しみ方をうかがいます。
フランスでの暮らしも半世紀を超える島田さん。パリ近郊のフォンテーヌブローの森の近くにあるブーロンマーロット村に家を購入したのは1988年のことです。
「この頃から毎週末はブーロンマーロットの家で過ごすようになったの。庭の手入れを始めたのも同時期です」
そしてたくさんの種類の薔薇を植え るようになりました。「本当は薔薇の花って派手だからそんなに好きじゃないの。でもね、綺麗なだけじゃなくて棘があるっていうのが薔薇のいいところ、魅力ね。そう思って薔薇は、毎年のように植えています。ただ、薔薇園を作ろうとは思っていないので、どんな種類がどこにあるかもわからないわ。何も決めずに植えているから何百種にもなるのでは?」
自由で華やか、パワフルに生きる島田さんらしい庭の育て方。そんな大好きな庭で過ごす時間は、贅沢で幸せだと言います。
「庭にはいつも出ていますよ。薔薇のアーチのつるの下にテーブルを出して朝食をとったり、テントの下で昼食を食べたり、夕日を見ながら1杯いただいたり。愛犬のモミジと散歩がてら、花の手入れをしたり。自然の中、小鳥がさえずり、リスがいて、何とも平和。庭は私のパラダイスね」
楽園とまで話す庭は、島田さんにとってどのような存在なのでしょう。 「空気や太陽は、人が生きていくため には必要不可欠なもの。それと同じくらい庭は、私にとって、なくてはならないものです」
家にいると毎日庭に出るという島田さん。「咲いた薔薇はこうして摘んで家の中に飾って楽しんでいます」
島田順子/しまだじゅんこ
ファッションデザイナー
66年渡仏。 81年パリで初コレクション「JUNKO SHIMADA」を発表。2012年フランス芸術文化勲章シュヴァリエ授与。小誌連載も好評。
『ku:nel』2020年9月号掲載
写真 島田順子、松永 学(島田さん)/ 取材・文 河田実紀