【佐藤可士和さんがシンプルライフで選んだもの/前編】散らかりを回避するにはもの自体を減らす

佐藤可士和の愛用するアイテム

居住スペースにはお気に入りだけを置いて、すっきり整えたいと思いながら、実践するのはなかなか難しいですよね。暮らしに必要なものを見極め、削ぎ落とす。それによって得られる心地よい空間を見出した佐藤可士和さんの考え方とは?

大人のシンプルライフに本当に必要なもの

ブランドをアイコニックに体現するクリエイションを、幅広い領域で展開する日本を代表するクリエイターである佐藤可士和さん。

「ある時ふと都心に住む自分にとって一番高価なもの、それはスペースなのかなと思ったんです。そんな貴重な暮らしのスペースに、好きでないもの、使わないものを置いておくのは、すごくもったいないのではと考えました」

佐藤さんはもともと整理整頓好き。過去に数回の引っ越しを機に、持ち物の見直しを続けてきました。

「ただいくら整理整頓を心がけて暮らしても、気づくとものが増え、雑然としてしまうということは、きっと誰もが経験があると思うし、そこが永遠の悩みだと思うんです」

ここで佐藤さんがひとつの考え方として挙げたのは、なんと宇宙の法則のひとつです。

「『エントロピー増大の法則』というんだけど、閉鎖的な空間では無秩序が増大するということ。わかりやすい例えでは、インクを水に落とすと拡散するのがまさにそれ。つまり部屋は整理しても、必ず散らかるものなんです。だからそれを回避するには、まずもの自体を減らすこと」

とくに高齢になるにつれ、ものをどこにしまったのか忘れたり、整理整頓自体が億劫になってしまいます。

「年齢を重ねた今こそ、シンプルな暮らしを心がけることだと思います。子どもの独立やパートナーとの別離、引っ越しなど、人生の節目をきっかけと捉え、持ち物を見直してシンプルな暮らしに切り替えていってみては?と思います」

佐藤さんが目指すシンプルライフに必要なものは、機能性とデザイン性があり、使いやすいもの。それらを必要数も見極めて揃え、暮らしが味気ないものにならないよう、余白や癒やしの部分も追求。そんな視点で選んだお気に入りの品々を、お話とともにうかがいました。

炎のある暮らし

佐藤可士和の愛用するアイテム

〈Fire T-Lite 3〉(W340×D340×H459)31万9,000円(EcoSmart Fireショールーム:03-6434-7656)

「夜はなるべくライトを消し、間接照明をひとつ、あとはキャンドルとこのバイオエタノール暖炉のエコスマートをつけて、炎の灯りで過ごしています。煙や煤も出ず、消すときは蓋をかぶせるだけなので、安全だし、とにかく手入れが楽。炎という自然の灯りは、空間をシンプルにする一方、暮らしそのものが豊かに感じられます」

タオルは家中、同ブランドで

佐藤可士和の愛用するアイテム

すごいタオル」 下から、〈B/T〉(70×140)7,150円、〈F/T〉(40×85)2,420円、〈W/T〉(34×36)880円(正岡タオル:0898-48-0245)

「タオルは畳んで収納することを考えると、サイズや色、質感が揃っている方が圧倒的に美しい。我が家はここ数年、今治の『すごいタオル』を白で3サイズで揃え、家中で使っています。もらいものやデザインが違うものは、来客用や旅行の際に使い、日常使いと分けてます。色はやはり白が清潔に感じられ、気持ちよく使えます」

屋内外で使えるスタッキングできる家具

佐藤可士和の愛用するアイテム

〈ポール・ケアホルム PK1 チェア〉11万8,800円(カール・ハンセン&サン東京本店:03-6455-5522)

「テラス用の家具を探していましたが、雨が多い日本では出しっぱなしもハードルが高いし、出したりしまったりも面倒。それなら室内用の椅子を晴れたテラスで兼用しようというのが現実的な答えでした。復刻したPK1は枝編み細工だったシートがペーパーコードに変わり、軽いので移動が楽でスタッキングもできて便利です」

PROFILE

佐藤可士和のポートレート

佐藤可士和/さとう・かしわ

クリエイティブディレクター。カップヌードルミュージアム、ふじようちえん、ユニクロパーク横浜ベイサイド、くら寿司グローバル旗艦店、ALFALINK相模原等印象的な空間デザインにも定評がある。京都大学経営管理大学院特命教授。

『クウネル』2026年11月号掲載 写真/加藤新作、スタイリスト/荻野玲子、取材・文/今井 恵

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