美しい器「アスティエ」のクリエイター登場。「料理は創造で誰もがアーティスト。器を自由に使って」
パリ1区、サントノレ通り。ルーヴル美術館も至近の〈アスティエ・ド・ヴィラット〉サントノレ店で、クリエイターの一人であるイヴァン・ペリコリさんに話を伺いました。
忘れられた美を新しい形で蘇らせる、アスティエの魅力。
「1996年に設立した頃は5人のグループで、私は美術学校の学生でした。ミニマリズムが主流の当時、私たちは古代や装飾的なものに惹かれていたのです。時代の流れに逆らい、自分たちが美しいと感じるものづくりをしたい、と考えました」
右からブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットさん、イヴァン・ペリコリさん。エコール・デ・ボザール(パリ国立高等美術学校)で学び、1996年に創業。創業者5人のうち3人がアスティエ・ド・ヴィラット家の出身だった。現在は2人がクリエーター。
最初は実用性を考えず、絵具や蝋で装飾した器を発表したとか。
「インテリアの見本市『メゾン・エ・オブジェ』に出展した際、『これで食事するの?』『洗えないじゃないか』と言われ、ああ、確かにと初めて気づきました。それで釉薬を使うことに。その頃はベージュやアイボリーが主流で、白いエナメルは誰も使っていませんでした」
釉薬は少し土の色が透けて見える独特の白。「何度も試行錯誤をし、最初と今では釉薬の感じが少し違います。また、一つひとつが微妙に異なるのも手仕事ならではの味」
ブランドの世界観は「温故知新である」とイヴァンさん。
「蚤の市などで見つけた古いものを参考にしながらも、ただ再現するのではなく、過去の要素を再解釈して取り入れ、新しいものを作る。それは決して懐古趣味ではありません。機能的、合理的なものばかりが溢れるようになった今、私たちは忘れられた美を新しい形で蘇らせたいのです」
アスティエが愛される理由を聞くと、
「手仕事には心がある、と思います。パリの工房で手作りする陶器には、多少のゆがみや筆の跡がありますが、機械で作られる完璧なものより、そうした人間らしさに、心を動かされるのではないでしょうか」とイヴァンさん。
大皿や絵皿が並ぶ奥のスペース。「18〜19世紀の博物画や版画を元にN.Y.で創作を行う、ジョン・デリアンとのコラボ作品は多数。過去のデザインに新しい命を吹き込む彼と私たちは同じ感性を持ち、双子のようです」とイヴァンさん。
陶器、シャンデリア、お香、文具、ガイド本の企画・編集まで、個性に満ちた作品を生み出し続ける。
「白は光を反射して料理がおいしそうに見え、食材の色も引き立てる。陶器の使い方にルールはありません。料理は創造で、誰もがアーティスト。自由に使ってほしい」
最後に、イヴァンさんからこんなアドバイスも。
「もっと自由に、直感で、服を選ぶように家の中のものを選んでいいんです。機能よりも美しさを大切に。そして古いものに目を向けてください。新しいものと古いものをミックスして取り入れる。それが一番素敵だと思います」
SHOP DATA
アスティエ・ド・ヴィラット サントノレ店
173 rue Saint Honoré 75001 Paris
写真/篠 あゆみ、取材・文/木戸美由紀
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『クウネル』NO.136掲載
なにしろ「フランスびいき♡」なもので
- 発売日 : 2025年11月19日
- 価格 : 1,080円 (税込)