広瀬裕子さん120㎡から45㎡への暮らし替え/前編。ソファも、棚も、大きなテーブルも手放したら暮らしは「余白」たっぷり

広瀬裕子さん、自宅の様子

本当に気に入ったものがあればたくさんはなくていい。その分、ひとつひとつに思いを込めて。暮らしをコンパクトにしたら、風通しが良くなりました。最小限のものでスッキリ暮らす〈クウネル・サロン〉プレミアムメンバーの広瀬裕子さんのお宅を訪ねました。

暮らしのサイズを1/3にしてシンプルに。

「余白があることが気持ちいい」。そう話すエッセイストの広瀬裕子さんの家はものが少なく、隅から隅まで見渡せる「余白」がたっぷりの空間でした。

日当たりのよいこの部屋からは隅田川が見え、その眺めが引っ越しの決め手に。これまで、東京、鎌倉、葉山と住まいを移り、最後は高松での一軒家暮らし。広さが120平米もあったそこと比べると、45平米になり約1/3のダウンサイジングです。もともと多くのものは持っていませんでしたが、1/3となるとやはりそれなりに……。食器や道具などの多くを整理しました。それでもいざ暮らしてみるとやや窮屈。暮らしを見直し、家具を次々に手放しました。3人掛けのソファは別の場所に移し、寝台、大きめのテーブル、棚は次の持ち主のもとへ。

広瀬裕子さん宅 ウェグナーのネスティングテーブル

ウェグナーのネスティングテーブルは3つの小テーブルが入れ子で収まっている。軽くて使い勝手がよく20年以上愛用。

「50代半ばにベッドは手放していたのです。ひとり暮らしの私にとって、大きなベッドを処分することは大変。歳を重ねた先、運ぶのは無理だと思い、布団生活に切り替えていました。でも、高さがあるほうが都合がいいと考え、布団を敷く寝台をつくってもらったのです」

ですが、やはり小さな家ではスペースをとります。体調をくずしたとき、スムーズに部屋を動きまわれないことにストレスを感じ、寝台を手放すことに決めました。布団は備え付けのクローゼットにしまっておき、夜に敷くスタイルに。結果、自由に使える空間が増え大正解。クローゼットといえば、服も年々、少なくなっています。Tシャツもブラウスも3枚、パンツも3本という具合で、40代のころと比べると量は1/5以下。本当に着心地がよく、サイズや雰囲気が自分にフィットしているものだけに厳選したら、自然とミニマムになりました。

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広瀬裕子さん、以前住んでいた自宅

前に暮らしていた120平米の一軒家。スッキリ暮らしてはいたけれど、広いスペースだったので今よりはものが多かったと振り返る。

広瀬裕子さん宅、窓からの様子

前の家から持ってきた椿や山茶花の大きな鉢。台風やベランダ工事のときに移動させるのが負担になり、1鉢以外は近所の花壇に寄贈。

広瀬裕子さん、自宅の様子

読書をしたり、くつろぐときは25年愛用する「スワンチェア」で。手前の「スーパー円テーブル」は部屋のサイズに合わせて買い直した。

広瀬裕子さん自宅の間取り図。

広瀬裕子さん自宅の間取り図

築18年のマンションで、約45平米の1DK。お年寄り、若いファミリーと多様な住人構成に魅力を感じている。黒猫のあめが同居。

PROFILE

シルバーヘアの広瀬裕子

広瀬裕子/ひろせ・ゆうこ

エッセイスト、空間デザイン・ディレクター

60代突入に向けての思いや、暮らしの工夫を綴った新刊『60歳からあたらしい私』(扶桑社)が好評発売中。

『クウネル』2025年5月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/鈴木麻子、間取りイラスト/丹下京子

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この記事の
プレミアムメンバー

広瀬裕子のポートレート

広瀬裕子

執筆のかたわら、50歳から空間設計の仕事をはじめ、現在は設計事務所の共同代表としてホテルや店舗、レストランなどのディレクション、フードアドバイス等にも携わる。著書に60歳からあたらしい私(扶桑社)など多数。
Instagram:@yukohirose19

『クウネル』NO.132掲載

住まいを整えて、人生をリセットする

  • 発売日 : 2025年3月19日
  • 価格 : 1000 (税込)

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