イラストレーターの緒方 環さんは、食事をとるのは1日に1回、夕食だけのライフスタイルを20数年も続けているそうです。そんな食生活を実践している理由と、食へのこだわりをうかがいました。
仕事をスイッチオフする、毎日の大きな気分転換。
1日1食の習慣は、自宅で仕事をする緒方さんが「1日の中でのメリハリをつけるために」決めたルール。「夜、おいしく飲んで食べるためにも、仕事に集中するためにも、昼間は少々空腹くらいの方がいい」のだとか。とはいえ、お腹が空いたら、日中でもフルーツやヨーグルト、スープなどは軽く口にするそうです。
「趣味は飲食と散歩」と口をそろえるパートナーとの暮らし。「今日は何を食べる?」という会話から始まり、二人で買い物に。「食材を見るのも買うのも楽しみのひとつ。仕事の気分転換を兼ねて近所のお店をハシゴします」。そして待望のアペリティフタイムになったらワインかスパークリングを開けて、飲みながら冷蔵庫の中をチェックし、作りながらまた飲む。「おいしい」の感動を共有しながら、二人で飲んで食べる至福の時間です。
前菜は緒方さんが作り、メインはパートナーが作る。
夕食は毎晩ほとんど自宅で。「自宅の食事なら、自分の好きなものを好きなだけ食べられて、好きなだけ飲めるから、何のストレスもありません」
「食」への情熱が高じて、食器のプロデュースも。
イラストの仕事先とのご縁で、hakuji(白磁)というテーブルウェアのデザインプロデュースもしています。「日常にもアートを」という思いを込めて、瀬戸の窯元の職人の手でひとつひとつ制作された器は、「我が子のように愛おしい」といいます。モノトーンの植物モチーフのイラストが料理を引き立てます。
緒方 環/おがたたまき
墨の濃淡やタッチを生かした墨画とい作風で、凛とした女性を表現するイラストレーター。ファッションやコスメブランドのイラスト、書籍や雑誌の装画などで活躍中。
『ku:nel』2020年7月号掲載
写真 目黒智子/取材・文 黒澤弥生