60代の暮らし替え、 都心から海を臨む高台へ。フォトグラファー・ 北島 明さん(後編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回はフォトグラファー・ 北島明さんのお部屋です。

前編はこちら

間取り

築33年、約170平米の4LDKに妻・息子と暮らす。2階の中央の部屋はフィルムや過去の作品などを保管するストックルームとして活用中だが、いずれはアトリエにする予定。

庭のある家を求めて、思い切って湘南に。

二面の大きな窓から光と風が通り抜ける、2階の仕事部屋。造り付けの本棚には、写真集のコレクションや資料の書籍がずらりと並ぶ。

仕事の打ち合わせもリモートが中心になり、地方移住や二拠点生活を始める同業者が増えてきたことも、湘南に引っ越すきっかけになったと言います。

「思っていたより電車の便が良くて都内へもあっという間。こんなことならもっと早くこっちに来れば良かった。引っ越してからは早朝に目が覚めて、仕事も家のこともテキパキはかどる。以前は深夜まで飲み歩くこともありましたが、庭の手入れをしたり、オーディオルームで音楽に没頭したりと、家で過ごす時間が楽しい。しばらく乗っていなかった自転車にも、また乗るようになりました。東京には、もう戻れないかもしれないな」

本棚にはお気に入りのアートやオブジェもディスプレイ。

4月から九州産業大学で芸術学部写真・映像メディア学科の客員教授を務めることになり、実家のある福岡との二拠点生活がスタート。充実した毎日の中で、新たな創作意欲も湧いているのだとか。

「アトリエスペースを構えて、個人的な作品作りにも挑戦してみたい。環境の良いこの家に引っ越してから、いろんなアンテナが敏感になった気がします」

リビングから繋がる和室はオーディオルーム。スピーカーはアメリカから取り寄せた、1967年の劇場用の『アルテック』。パワーアンプは1955年のものをオーバーホールしたというこだわりよう。オーディオと同年代のレコードをかけて、音に没入しながらお酒を飲むのが至福の時間。

オーディオルームのソファはヴィンテージの『ミロ・ボーマン』。音楽を聴きながら寝落ちしてしまうことも。

PROFILE

北島 明/きたじま・あきら

広告・雑誌・アーティスト写真などを中心に幅広く活躍。1990年朝日広告表現技術賞受賞。4月から九州産業大学芸術学部写真・映像メディア学科の客員教授を務める。

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/北島 明、取材・文/吾妻枝里子

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