切る、塗る、埋める…住んでつくり続ける“箱”。『オルネ ド フォイユ』デザイナー・谷 ヒュンスクさん(後編)

ほっとする、リラックスできる、落ち着く。クウネル世代にとって部屋は、くつろげることが大切です。それは、家族の形態が変わりひとり暮らしをするようになっても、実家を引き継ぎリフォームすることになっても、都心から自然豊かな地に暮らし替えをしても、そしてパリのアパルトマンでも。自分のスタイルとさまざまなストーリーを持つ16組のくつろげる部屋をお届けします。今回は『オルネ ド フォイユ』デザイナー・谷 ヒュンスクさんのお部屋です。

前編はこちら

間取り

築3年、85平米で3人暮らし。居住スペースをできる限り広くとるために廊下は設けず、リビング以外の部屋もぎゅっとコンパクトに。こだわった天井の高さは3mもあり開放的。

住み始めてからが家づくりの出発点。

キッチンのオープンな食器棚は、『無印良品』のスタッキングシェルフを壁に取り付けた。前の家で使っていた家具を上手に再活用。『オルネ ド フォイユ』で以前から取り扱う〈アスティエ・ド・ヴィラット〉などを「見せる収納」に。

建築家に家作りに関するアドバイスをもらいながら、壁の色、素材など内装に関することはすべてを夫婦で決定。多くを施主支給で進めました。

「少ない時間のなかで、どんどん決めていかなくてはならず、本当に大変で」とヒュンスクさんは振り返ります。

さて、一家が移り住んできたのは、家づくり途上の段階。天井と壁は、引っ越し前に自分たちで塗りました。石膏ボードの継ぎ目をパテで埋め、その上から塗装。

窓から続く壁はR状に丸みをもたせました。ドアや棚は引っ越してから自分たちで取り付け、そんなDIY作業はいまも続いています。「海外のような」情緒あるインテリアは、そういう細部にまで注いだ情熱の結晶なのです。仕事の休みの度に、切ったり塗ったりを繰り返し……。

「実際に暮らしてみないとわからないことはある。後から『こうすればよかった』って絶対に出てくるんですよ。だから、暮らしながら、少しずつ手を加えていくんです」と夫妻は話します。

『IKEA』のシステムキッチンをベースに、天板などは自分たちでアレンジ。シンク上の壁にはステンレスの棚板を設置し、キッチンツールを素材別に並べている。作業台の上に窓をつけ、緑を見ながら料理ができるように。

リビングの窪みスペースに棚板を渡して、本棚をしつらえた。

PROFILE

谷ヒュンスク/タニ・ヒュンスク

夫の谷 卓さんが営むインテリアと雑貨のショップ『オルネ ド フォイユ』でファブリックアイテムのディレクションを担当。韓国出身。パリ留学中に夫と出会った。

谷ヒュンスクさんのおうち動画を公開中です!

『クウネル』2024年7月号掲載 写真/加藤新作、取材・文/黒澤弥生

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『クウネル』NO.127掲載

くつろげる部屋が好き!

  • 発売日 : 2024年5月20日
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