【住まいと暮らしvol.50】雑貨を通して好きなことに邁進する、北海道と東京の二拠点生活ー木下えりさん

部屋やごはん、お気に入りの道具たちを本人撮影の写真で見せていただき、バトンを繋いでいくリレー連載。前回の古川敬美さんのバトンを受けてご登場いただくのは、雑貨店「Aujourd’hui(オージュルデュイ)」の店主、木下えりさんです。

木下さんの暮らしのルール

1)何でも話す
2)思いきり歌い、笑い、踊る
3)目の前にあるささやかな日常、平和、喜び、充実を丁寧に感じる

12年前に、東京から北海道旭川市に移住した木下さん。

「10代の頃から洋服と雑貨が大好きで、『anan』や『Olive』は毎号購入していました。出産後、幼い頃から憧れていた、理想のインテリアで暮らす家を建てるという夢を実現するために、夫の故郷である旭川市に移住しました。

移住してみると、本州とは気候や文化、生活スタイルがまるで違うことに戸惑い、慣れるまでに時間がかかりました。何より大好きな雑貨屋巡りをすることができず、雑貨が自分にとって大切な存在だったんだと気がついたんです」

それならば自分で始めてしまおう、と思った木下さん。お店が完成するまで待ちきれず、まずは自宅の玄関先で雑貨屋をスタートしたそう。

「リサーチもせずに勢いで始めたので、友人・知人もほとんどいない上に、車がなければ100%来ることができない山の中というロケーション。自宅の敷地内にあるので、お客さまが来ない日があっても、焦らず気負わずに営業していました。ありがたいことに、昨年10周年を迎えることができました」

雑貨屋をオープンしたことでたくさんの友人、知人と出会え、知恵と刺激をもらう日々だといいますが、そこに留まりませんでした。

「東京を離れてみて、何でもすぐに手に入る便利さ、都会の楽しさも私には必要だと思い、昨年から二拠点生活をスタートしました。月に1度、12年の北海道生活のなかで出会った作家さんやおいしいものを紹介するポップアップショップも開催しています。

冬の長い北海道では家の中で過ごすことが多く、塞ぎがち。家族の間では何でも話し、共有する。歌ったり踊ったり、大声で笑うことが大事だと気がつきました。好きなことができていることに感謝して、一度きりの人生を大切に楽しんでいきたいです」

自宅敷地内に立つ、雑貨のお店「Aujourdʼhui」。2014年9月にオールセルフビルドによって竣工したそう。

雑貨屋に併設したカフェ『café時々』は、2023年にスタート。「こちらも夫によるセルフビルド。カフェは週末のみで、夫を中心に営業しています」

自宅とお店、カフェに3つの薪ストーブを所有。「家を建てるときは、きっとお客さんが遊びにきたときにつける程度だろうと思っていましたが、薪ストーブの暖かさを知ってしまい、できるだけつける生活をしています。初めの頃は、家の中に火があることが不思議でした」

カゴが好きだという木下さん。「店でもたくさん取り扱っていますが、家の中にも私物のカゴがたくさん。先日、カゴを収納するための棚を夫につけてもらいました」

愛猫のノアさん。「2021年よりわが家にやってきて、今ではかけがえのない家族の一人(一匹)。まるで人間だと思っていそうなぐらい、表現や表情で考えていることが伝わってきます」

吹抜けのため梁があり、ノアさんの遊び場に。「有効活用はできないものかとずっと考えていたのですが、ちょうどいいキャットウォークになりました」

息子さんが描いたという、愛猫ノアさんの絵。「イラストがかわいくて、ポストカードとTシャツとラグにしました。ポストカードとTシャツは、お店で販売しています」

Tシャツをシルクスクリーンに刷るときに、試し刷りをした紙をフレームに入れて飾って。まるでポスターのようで気に入っているそう。

夏の家からの景色。「まるでキャンプ場のようです(笑)。リビングと同じ大きさのウッドデッキも、夫によるセルフビルドです」

こちらは冬の風景。「リビングからお店がよく見えます。冬はスキー場の真ん中にいるみたいです」

お店で販売している「Pebble Ceramic Design Studio」の器。「自家製のアスパラにちょうど良いサイズ。欠けてしまったのですが、自分で金継ぎを施しました」

ディルは自家製。「必要になってスーパーに探しに行っても、どこにも売っておらず、それならば育ててしまおうと思いました」

ビーツのスープ。「ビーツも探すとなかなか売っておらず、義理の母の畑で作ってもらったものをスープに使用しています。玉ねぎ、じゃがいもなどは北海道に来てからほぼ買ったことがなく、義母が育てたもので過ごせています」

庭のスモークツリー。「以前からスモークツリーが好きで、移住してすぐに庭に植えたので10年以上経ちます。今では売ってほしいと言われるほど、立派になりました」

移住前に住んでいた都内に小さなお部屋を借りて、昨年から二拠点生活をスタート。「友人も、通い慣れたお店もあり、懐かしくも新鮮な気持ちで過ごしています。生活に必要なものは、取り扱うお店の商品でほとんど揃いました」

profile

木下えり/きのしたえり

雑貨屋「Aujourd'hui 」店主。静岡県、埼玉県、栃木県育ち。18歳より20年東京で暮らす。2012年春より、東京から北海道旭川市に家族で移住。2013年秋に雑貨屋 「Aujourd'hui」を開業。2023年春より東京と二拠点生活をスタート。冬より、雑貨屋の隣りに併設した「café時々」をスタート。
Instagram @aujourdhui2013、@cafe_toki_doki

木下さんがバトンを渡すのは、そうめん料理研究家の日坂春奈さん。「出会って間もないのですが、そうめんの会をうちのカフェで開催したことがあります。彼女のそうめん愛にすっかりファンになりました。これからのパルちゃんがとても気になります」と木下さん。日坂さんの暮らしは、2月後半に公開予定です。どうぞお楽しみに。

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